皮フをつまんで術後浮腫を撃退! | 日本オランダ徒手療法協会

blog

皮フをつまんで術後浮腫を撃退!

2019.06.19

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

いつもの定位置、自宅デスクに戻ってきた黒田です(笑)

 

やっぱりいつもの場所がなんだかんだ落ち着きますねー。

 

もう令和になって1ヶ月が経っちゃいました。早いものです。

 

今の季節梅雨入り前だから、過ごしやすい気候ですよね。

 

ついこの前家族で菖蒲を見に行ったんです。

 

僕が住んでるのは長崎市なんですけど、そこから車で1時間ぐらい離れた大村公園ってところ。

 

そこは桜の名所でもあるんですけど、菖蒲も綺麗なんです。

 

その日は菖蒲まつりといって出店があったり、イベントがあったりしていたんです。

 

出店は定番のたこ焼きやお好み焼き、カキ氷…良い匂いがして食欲をそそられます。

 

ただ、うちの2歳の娘は別のモノに目が奪われました。

 

ソフトクリーム!子供ってアイス好きですよねー!

 

ついさっき昼ごはんを食べたばかりだったんですけど、別腹のようです(苦笑)

 

僕「どれがいいの?」

 

娘「白ー!!!白がいい!」

 

白とはバニラのことです(笑)以前ソフトクリームをコーンで食べた時に溶けてしまって大惨事になったので、今回はカップで注文しました。

 

最後の方はソフトクリームの跡形もなく、バニラシェイクのようになっていたんですけどね(苦笑)

 

他にも実はチョコやバニラとチョコのミックスなんかもあったんですけど、娘はバニラ味を選びました。

 

なんかミックスの方がどちらも味わえて得した気分になりそうなんですけどね。

 

ただ、どちらも味わえる両方どりはソフトクリームでは良いかもしれませんが、治療の場面では得しないことが実は多いんですよね。

 

今回は骨折後の患者さんの治療で経験した事をあなたとシェアしようと思います。

 

骨折後にあるよくある問題

 

70代女性で橈骨遠位端骨折術後の患者さん。転倒して手をついた時に骨折してしまうという典型的なパターンで怪我をしました。

 

僕のところに来たのは術後1ヶ月ぐらいで骨癒合もだいぶん進んできた頃。

 

来られた時の手の状態はこんな感じでした。

 

・手関節の可動域制限

・力が入りにくい

・手関節周りの浮腫(特に術創部周囲)

・母指・示指のシビレ

 

特に印象的だったのは術後1ヶ月にしては浮腫が強かったこと。

 

特に術創がある手首の掌側側あたり。もうパンパンで皮フもテッカテカ。

 

まずはこれをなんとかしないといけない!そう思ったんです。

 

何故か?

 

浮腫によってもちろん可動域制限も出てしまうし、手首周りの腱や神経は圧迫されますよね。ということは、この浮腫をとることが力が入りにくい、母指や示指のシビレの解消にも繋がると思ったんです。

 

そこで浮腫に対して術創部を刺激しすぎない範囲でマッサージをしたり、屈筋腱のリリースなどをしてみたんです。

 

しかも、結構時間をかけて。

 

ただ、あんまり効果なし。

 

即時的にはあんまり変わらないと思ったので、その日は手を出来るだけ下げないように指先を挙上位にしてもらうような指導をして帰ってもらいました。

 

、、、

 

次の治療のとき

指先を挙上位にしてもらっていたにも関わらず、全くと言っていいほど手首の浮腫は減っていなかったんです。

 

ただ、ここで僕は焦りませんでした。何故なら次の一手を考えていたからです!

 

だから、今回は前回とガラッと治療アプローチを変えてみたんです!

 

そしたらそれがビンゴ!!

 

その場でも浮腫の大幅な軽減に成功。そして、3回目の治療時にはその効果は持続していたんです!

 

僕が浮腫の軽減に成功したとき、何をしたのか?

 

それは〇〇に対してアプローチをしたんです。

 

その〇〇、意外と見逃しやすい場所なんですよね。

 

浮腫軽減のターゲット:リンパ

 

僕が行ったこと。それは術創部周囲の皮フリリース。

 

浮腫の原因は様々だけど、運動器系だと関係するのは循環の問題。

 

溜まった水分を排出出来ないのが大きな問題です。

 

そして、水分を排出する機構は静脈系とリンパ系ですよね。

 

静脈は体の中で筋肉の間を通っていることが多いです。

その理由は静脈は筋の収縮弛緩(筋ポンプ作用)によって心臓に血液を返すため。

 

だからもし筋肉に硬結や癒着があるとが筋肉の収縮弛緩が上手くいかないから浮腫は溜まってしまいますよね。

 

ただ今回は静脈系は問題なし。それは浮腫が溜まっていた場所が関係していたんです。手首の術創部に浮腫があったんだけど、そもそもそこって筋肉じゃなくて腱が集まっている場所じゃないですか。

 

だから、あんまり浮腫には関係なかったんですよね。

 

一方でリンパはどこにあるか?それは主に皮フの直下。

 

リンパが上手く働くための条件は皮フに柔軟性があって、関節を動かすのに伴い引っ張られたり、緩んだりを繰り返すことが出来る。このような状態でなければなりません。

 

ただ、術後は術創部の炎症の関係で皮フは癒着を起こしたり、浮腫が持続することによって皮フがパンパンに引っ張られて柔軟性を失ってしまう。

 

するとリンパの機能は低下してしまいますよね。

 

それを解消するために実際にこの患者さんにやった皮フのリリースは

一度皮フを緩ませるために手首を掌屈させて皮フをつまみ、そこから手首を背屈させる。

 

術創周囲で皮フの癒着が取れるまでこれを入念に行ったんです!

 

これだけで浮腫はかなり軽減!

 

患者さんもかなり喜んで帰ってくれました!

 

、、、

 

アプローチを色々やりすぎるとどれが効いたのかわからないことが多いですよね?

 

浮腫一つとってもリンパの問題なのか?静脈の問題なのか?内科系なのか?

でアプローチの方法は違ってきます。

 

なのである一つの問題に極端にアプローチした方が効果の現れ方も極端になって、逆に効果が現れなかったらそこに問題はなかったということがわかるんです。

 

なかなか効果が現れない時にはごちゃ混ぜのアプローチではなくて、ある一つのアプローチに絞って行う事をオススメします!

 

ソフトクリームと同じで欲張らず一つの味を楽しむように(笑)

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S

菖蒲の話に全く触れていなかったですけど、とても綺麗でした!天気も良くて最高の休日でした!


この記事を書いた人

アバター画像

黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。