治療の「もどり」をなくすために必要な事 | 日本オランダ徒手療法協会

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治療の「もどり」をなくすために必要な事

2019.09.14

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

職場や家族、その他所属しているコミュニティでこんな事ってありませんか?

 

特に後輩や子供、新入社員なんかが多いかもしれません。

 

「同じことを何度も言わないといけない人」(涙)

 

昔と違って丸くなった今の僕はそのような人にもきちんと適切な指導が出来ます(笑)

 

でも、同じことを何回言っても直らない人に対してはちょっとイライラしちゃいますよね?

 

だって人間だもの(苦笑)

 

そこまで心理学に詳しいわけではありませんが、何度も同じこと言ってイライラしてしまう人は恐らく、相手のことをコントロールしたいんだと思います。

 

自分の思い通りにしたい。自覚しているかいないかは別としてそんな心理だと思います。

 

しかし、アドラー心理学的には相手をコントロールすることは無理だと言っています。

 

「課題の分離」といって自分にコントロール出来ることと相手にしかコントロール出来ないことをきちんと分けることが大事!それがアドラー心理学です。

 

簡単に例えると、誰かのことを自分が好きになることは出来るけど、その誰かが自分のことを好きになってくれるかは自分にはどうしようも出来ない…そんな感じです(汗)

 

僕はアドラー心理学の「嫌われる勇気」という本を読んでこれが一番面白かった部分でした。

 

なので、これを読んでからは結構イライラすることが減りましたね!

 

ちょっと話が逸れましたが同じことを何度言っても「元どおり」になってしまうような人、厄介ですよね〜(苦笑)

 

治療の場面でもこの「もどり」は厄介です!その場では痛みが取れたり、可動域が改善しても次回の治療の時には元どおり(涙)。

 

そんなことは多々あります。

 

今回はその症状の「もどり」の原因について書いてみようと思います。

 

テクニックはもちろん大事!でも…

 

腰痛専門なのに、最近は肩の人を診ることが多いんです(汗)。なので肩で話をします(苦笑)。

 

肩関節周囲炎、腱板損傷など肩関節にはいろんな疾患がありますよね!

 

ただ、どのような疾患であろうと問題になってくるのは拘縮や可動域制限。

 

僕が診た患者さんもそうでした。

 

痛みは三角筋の中部線維にありました。そして、肩を挙上すると痛い!

 

痛みはもちろんあったんですが、可動域制限もあったんです。

 

高齢者で円背もあるので制限が出るんですが、左右差がある。

 

健側は120°ぐらいは挙上可能ですが、患側は100°までしか出来ない。

 

色々と探っていくと、肩関節の下方組織の硬さがありました。

 

広背筋、大円筋、上腕三頭筋長頭、肩甲下筋、下方関節包などをリリースしたり、ストレッチしたり…

 

入念にやっていくと、肩の挙上が110°ぐらいまで上がってきました。

 

テクニックの精度が上がったなぁ〜なんて自画自賛しちゃいました(笑)

 

しっかり可動域が改善してその日は終了したんです。

 

、、、

 

次回の治療時…

 

ガーン、完全にもどってる(汗)

 

あれだけ頑張って治療した時の効果は全く持続していませんでした(涙)

 

昔の僕はこのような経験ばかりしていました。

 

さて、なぜ「もどり」が生じてしまったのでしょうか?

 

理由は僕が治療で「〇〇だけしか」していなかったから。

 

それが大きな原因だったんです。

 

神経筋の再教育が必要!

 

治療の「もどり」の原因はいくつかあります。今回はその中でも「神経筋の再教育」ということに焦点を絞ります。

 

「神経筋の再教育」とは?

 

テクニック的にいうとPNFなんかがその類いです。

 

自分の意思で動かすためには、筋肉やそれを動かす運動神経だけでは出来ません。

 

関節がどの方向に動いた、関節包や腱がどれくらい引っ張られた…感覚神経がそのような情報を脳に伝えた後に運動神経や筋肉に指令がいき、実際に動きが生まれます。

 

このような仕組みによって体は動いています。「運動パターン」と言ったりもします。

 

では、なぜ僕の治療では「もどり」が生じてしまったのか?

 

それはリリースやストレッチなどの「他動的な治療しか」していなかったんです。

 

この患者さんの肩の可動域は挙上100°でした。なので0°→100°ではおそらく「運動パターン」は構築されているでしょう。

 

ですが、他動的にでも110°に挙上角度が広がった。

 

そうなると100°→110°の10°の動きについては「運動パターン」が出来ていないのです。

 

なので、その可動域が拡大した分の「運動パターン」を身に付けるために、神経筋の再教育を行わなければならないのです。

 

肩の挙上に伴う代償動作としては肩甲骨が上がってしまうような動作がよく見られますよね?

 

他動的に拡大した可動域分も、代償動作なく自動的に動かす学習が「もどり」をなくすためには必要ということなんです。

 

、、、

 

臨床上どうしても痛みが取れたり、可動域が上がるとそれで治療を終えてしまうケースが多いと思います。僕もそうでした。

 

今回は可動域でしたが、痛みも運動パターンを崩してしまう原因となります。

 

なので、痛みが取れたからといって直ぐに良い動きが出来るかというとそうではありません。

 

他動的な治療で痛みが取れた!可動域が上がった!

 

その後のちょっとしたあなたの一手間が患者さんの治療効果を持続させてくれますよ。

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S

押してダメなら、引いてみろ!何度言っても元に戻ってしまうなら、逆に何も言わないのも一つの方法ですかね(笑)


この記事を書いた人

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黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。