慢性腰痛は運動負荷の見極めが重要! | 日本オランダ徒手療法協会

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慢性腰痛は運動負荷の見極めが重要!

2020.04.30

from 黒田雄太  @自宅デスクより

 

「stay home」

 

ということで仕事がない週末は家で大人しくしている黒田です(汗)

 

娘も家にいる時間が多いので、退屈しないように木製の小さなジャングルジム付き滑り台を購入!

 

すると、娘はほとんど家から出たがらなくなり、1日中滑り台で遊んでいます。

 

さらに滑り台に続いてトランポリンも購入!

 

大人用なので80kgまで耐えられます。

 

これは僕の運動不足解消のためでもあるんですが(苦笑)

 

家に持ち帰って早速組み立て!娘も大喜びで遊びました!

 

娘がひとしきり遊んだ後、密かに楽しみにしていた僕もやってみました。

 

やってみると、これがいい!!

 

トレーニングの引き出しも増えそうでテンション上がりまくりです!

 

するとある時「パキッ!」左膝から音が…。

 

「やってしまったぁ…(涙)」

 

明日の朝は左膝が痛くなるなぁとテンション下がりまくりで不安に。

 

痛みと不安は切っても切れない関係です。

 

特に慢性痛においては不安をいかに取り除くのかも治療のポイントになります。

 

今日は慢性腰痛で不安を取り除きながら運動療法を行った結果、少しずつ改善した例を紹介します。

 

脊柱管狭窄症で歩けない…

 

患者さんは70代の男性でした。

 

症状は主に体幹伸展時の腰痛と右下肢痛です。

 

詳しくは、

 

・腰痛は右のL5/S1もしくは仙腸関節

 

・右下肢痛は主に大腿外側部

 

・立つとすぐに右下肢痛が出現

 

・20~30mの歩行で右下肢痛が出現

 

・座っていると痛くない

 

・すでに半年以上経過

 

今回は病態については詳しくは触れませんが、右下肢痛はあるものの、しびれや感覚異常、筋力低下はありませんでした。

 

なので、神経系の問題ではなく右L5/S1か仙腸関節の「関連痛」だと判断しました。

 

治療としては圧迫が強いと考えられる右L5/S1か仙腸関節の動きを取り戻すことが必要なのですが、他にも大きな問題がありました。

 

それは常に痛みを気にしてしまうということ。

 

無理もありません。半年以上もこのような状態が続いているのですから。

 

立った途端に痛みが出てしまうので、気にならないわけがありません。

 

その結果、どんどん活動性が落ちてしまったです。

 

このように慢性痛の患者さんは痛みが出るのが不安で活動性が上がっていきませんよね?

 

僕も正直簡単ではなかったのですが、”あること”に気をつけながら行うと少しずつ改善していったんです。

 

そのあることとは…

 

“出来る範囲”でやっていきましょう??

 

この言葉よく使うと思いますが、本当の意味を理解できていますか?

 

今回はこの”出来る範囲”というのを明確にしたいと思います。

 

要は負荷コントロールのことなんですが、

 

負荷とは次のように定義されます。

 

負荷=強度×量

 

「強度」とは一回あたりにかかる負荷のことです。

 

ウエイトトレーニングでいうと重さが重い方が負荷が高い状態です。

 

また自重のトレーニングでも同様で両脚スクワットと片脚スクワットでは片脚の方が負荷が高いです。

 

そして、もし強度が高かったら”その場”で痛みが出ます。これがポイントです!

 

一方で「量」とは回数や距離、時間など繰り返し行う負荷のことです。

 

これは単純に量が多いと負荷が高くなります。

 

もし量が多ければ”翌日や時間が経ってから”痛みが出ます。

 

つまり、強度的にも量的にも問題なく行えるのが、”出来る範囲”なんです。。

 

この患者さんの場合も同様に、この考えでやっていきました。

 

例えば、ブリッジ!

 

大臀筋のトレーニングですが、お尻を完全に上げてしまうと腰痛が出たんです。

 

なので、その場で痛みが出ない強度にするためにお尻を完全に上げないようにしてブリッジを行いました。

 

そして、そのお尻の上げ具合ではじめは5回、次は10回、10回×2セット…

 

というように少しずつ量を増やしていきました。

 

これはある一つの運動を例にしましたが、日常生活の活動量も同じように上げていきます。

 

そうすることで、はじめは20〜30m歩くと痛みが出ていたのが、3ヶ月後には20分歩けるようになりました。

 

、、、

 

日々の治療やリハビリの中で理解が曖昧なまま使っている言葉が数多くありませんか?

 

でもその何気ない言葉や曖昧に理解していることが本当は臨床で結果を出すために必要なことだったりします。

 

もし曖昧なまま使っている言葉があったら、今一度しっかりと見直してみてはいかがでしょうか?

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S

心配していた左膝ですが何事もなく痛みは出ませんでした(笑)。調子に乗らずに日々急な運動は気を付けます(苦笑)。


この記事を書いた人

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黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。