テクニックの拘り:リリース編 | 日本オランダ徒手療法協会

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テクニックの拘り:リリース編

2019.09.04

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

「パ〜パ、パ〜パ、こっちおいでっ!」

 

子供は本当に頭がよくて、大の大人たちを意のままに操る(笑)

 

2歳半になり随分おしゃべりが上手になった娘です。

 

1週間のうちの1日は必ず完全にオフ日を作り、娘と過ごすようにしています。

 

家にいるだけじゃ味気ないので、お昼ご飯を外で食べてその後、ちょっと遊んで15時ぐらいに帰ってくるのが最近の休日のパターン。

 

帰りはほぼ100%バスの中で寝ます。眠った娘を抱えて家まで帰るのはある意味トレーニングに等しいのですが(苦笑)、それもまた1つの楽しみ!

 

翌日の仕事をまた頑張れます!

 

そんな娘ですが、最近ハマっているのがお医者さんごっこ。

 

大人になったらお医者さんになると言っています。そのまま本当になって僕らを養ってくれたら嬉しいですが(大笑)

 

僕もそのお医者さんごっこに付き合うこともあるのですが、娘なりに拘りがあるようです。

 

座る位置や服装、聴診器を模したネックレス…

 

1つでも違うと「ち〜が〜う!!!」って怒られます(汗)。

 

そんな感じで子供に付き合うって結構大変ですよね?

 

拘りが強いとなおさら(苦笑)。

 

拘りと言えばあなたには何か治療の拘りがありますか?

 

この視点から捉える、このテクニックを使う、この理論を軸にする…などそれぞれの拘りがあるでしょうね。

 

今回は臨床で多用するテクニックの1つである「リリース」の拘りポイントについて話してみようと思います。

 

大腿部緩めるのって難しくない??

 

ほとんどの治療家やセラピストが治療やリハビリの前に「大腿部」周囲の筋肉にアプローチしますよね。

 

変形性股関節症、変形性ひざ関節症、腰痛…。

 

腰部や下肢の疾患には必ずと言っていいほど行います。

 

組織的にはさほど多くないので、アプローチするものも限りがありますが。

 

内転筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、大腿筋膜張筋、腸脛靭帯などでしょうか?

 

大きな筋肉が多い大腿部ですが、実際に緩めるのって難しくないですか??

 

以前の僕はそう感じていました。

 

結構頑張ってやっても何だかんだあんまり変わってないなぁ…みたいに思うこともしばしば(汗)

 

それに意外と時間がかかるので、20分の治療時間のほとんどを大腿部を緩めるのに費やしてしまうんですね。

 

20分かけても効果はイマイチ、治療時間は終了(涙)

 

こんな感じで緩ませるのが難しい「大腿部」ですが、リリースを使うとこれを解消できることが多いです。

 

マッサージやストレッチだけでは効果はイマイチですが、リリースは効果抜群です!!

 

緩ませるのにはリリースが有効なんですが、ただ、適当にリリースをやっても残念ながら効果は出ないんですよね〜。

 

きちんと「拘り」を持ってリリースしなければなりません。

 

その拘り次第で結果は大きく左右されるんです。

 

料理と同じで順番が大事!

 

テクニック自体にもいくつか押さえるべきポイントがあります。ただ、今回はそれには触れません。

 

マニュプレーションやモビライゼーションなどの関節系のテクニックは出来たか出来ていないかの効果判定がわかりやすいので良いのですが、何となくでも出来てしまうのがリリース。

 

なので、きちんとリリースによって筋肉の緊張が落ちたり、滑走が良くなったりというのを自分なりに厳しく評価しないといけません。

 

そう考えるとリリースって難しいテクニックで奥深いんですよね!

 

話が脱線しました(苦笑)

 

大腿部をリリースするときに僕が拘っていること…それはリリースする順番。

 

内転筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、大腿筋膜張筋、腸脛靭帯…

 

あなたはどの組織からリリースしますか?

 

僕は腸脛靭帯から行なっていきます!

 

それは何故か?

 

経験則的なこともありますが、解剖学的な根拠にも基づいています。

 

腸脛靭帯は表層にあり、外側の大腿筋膜が肥厚したものだと言われています。

 

ということは大腿部全体の筋膜に関係するということです。

 

大腿部に触れた時に硬い感じがありますよね。

 

その場合、①筋肉自体が硬い、②表面の皮ふや筋膜が硬く、筋肉が硬いように感じられる。

 

この2パターンがあります。

 

腸脛靭帯は②の方に影響します。

 

なので、まず腸脛靭帯からリリースしてみる。すると、大腿部全体の筋膜の緊張が落ちるためか筋肉の緊張も一気に落ちるんですね!

 

本当にきちんと腸脛靭帯をリリース出来たときは大腿部はユルユルです!

 

ただし、腸脛靭帯をリリースしても大腿部が硬いままの場合ももちろんあります。

 

その時にはハムストリングスや大腿四頭筋などの筋肉自体にリリースをかける必要があります。

 

、、、

 

リリースは多くの治療家やセラピストが多用するテクニックです。

 

ただ、意外と軽くみられている事が多いような印象を持ちます。

 

でもこのリリースがきちんと出来るとかなり治療の幅は広がります。

 

筋肉の滑走が良くなるので、可動域ももちろん上がりますが、滑走が良い分効率的に筋肉も収縮しますし、静脈やリンパの流れも良くなります。

 

運動療法前後のケアにも使えるんですね!

 

幅広い効果を得られるリリース!しっかりと拘りを持って是非あなたの武器にして下さい!

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S

次の休みの日は娘とどこに行こうかな!そう考えるのが今の僕の一番の楽しみです!


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黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。