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大腿骨骨折は十二指腸潰瘍が原因
2021.02.12from 杉山貴規 都内カフェ
今日はアイシングの話をしたいと思う。
これって、前々から話していることなんだけどね。
先日、海外のブログで自分と同じことを言ってる人がいたんだよね。
そのブログの結論から言うと
『アイスは冷蔵庫に入れておくべき、怪我でアイスは必要はない』
結構この発言衝撃的だったんだ。
自分はここまでは言えないんだけど。
その背景には、やはりアイシングの効果というところに問題があったんだよね。
アイシングが有効なのはやはり、急性期の痛みの緩和でしかないのでは…
っていうところにあったんだ。
そのブログを見ているとアイシングの歴史が書いてあって、
その歴史は1978年までさかのぼって、Gabe Mirkin博士によってRICEが提唱されたんです。それが、アイシングの始まりだったんです。
日本でも、このRICE処置は現在でもしようされ、様々なところで代々受け継がれている怪我の処置として残っているんです。
しかし、海外ではそのことに関して、様々な議論がされ、アイシングや安静は中長期に見て怪我の治癒遅らせるっていうのがわかって来たんです。
そして、2014年にアイシングの歴史を作ったGabe Mirkin博士が以下のように述べているんです。
「コーチは何十年もの間、彼の『RICE』ガイドラインを使用していたが、今では氷と完全な休息の両方が、実際には助けるのではなく、治癒を遅らせる可能性があることが明らかになった」
ただ、応急処置でのアイシングのみ有効らしい。
このアイシングの歴史をみて、本当に驚いたんだよね。
しかし、です。
日本では、今でもこのRICE処置が様々なスポーツ協会で推奨されているし、どこのスポーツ場面でも使われているんです。それは、応急処置でしか使えないということ。
これを明記して、次にどんな処置をするかまでは載っていなんです。
つまり、痛かったら、つねにRICEなってしまうんです。
じゃ〜、今のトレンドは何か?
実は、1978年にRICE処置が発表されてから、2019年の最新の処置到るまで4回ほど処置方法に関してアップグレードされていたんです。
今は、
『PEACE+LOVE』
おいおいって感じですよね。
ラブ&ピースかよ。愛護的に見守るのか?
実は、Protection, Elevation, Avoid Anti-Inflammatory Drugs, Compression, Education & Load, Optimism, Vascularisation and Exercise
頭文字からとったものなんです。
日本語で言うと、
保護、昇降、抗炎症薬の回避、圧迫、教育と負荷、楽観主義、血管化と運動
アイシングはもう、どこにもないですね笑
ってな感じで、怪我の処置は大きく変化しているんです。
海外に目を向けて、日本もスポーツ現場でのこう言ったスキルにはアンテナを張らないとダメですね。
さてさて、前置きがチョ〜長くなってしまったんですが、
ここからが本題。
今日の話はその固定観念で、骨折がなかなか癒合しない件について話したいと思います。
骨折は癒合するまで待つ!?
ある患者さんが転院してきたんです。
年齢や性別などの個人情報は伏せますが、かなり若い患者さん(20~40代)
自宅で転倒して、大腿骨転子下骨折をしてしまったんです。
救急で病院に運ばれて、回復期の病院に転院してきたんです。
転院する前のサマリーを見ると
・筋力の評価は5レベル
・歩行はできず、足もついちゃいけない状態
おいおいなんでだ?
レントゲンを見ると
骨折部分の手術はプレート固定
しかも、骨の癒合が仮骨形成が不十分
ドクターからは今後も様子を見て、骨の癒合状態を見ながら荷重をかけるかどうか判断しようって話になったんだよね。
これって、普通の会話ですよね。
骨がついていないなら、骨がつくまで待ちましょう!
っていう。
確かにそうなんだけど。
腑に落ちなかったんだよね。
まずは年齢が若いこと、術後からすでに8週を過ぎていること。
この年齢で術後かなり経過しているのに骨の付きが不十分じゃないことはとても納得できなかったんだよね。
もし、これで骨がついて荷重ができたとしても、ひょんな事でもしかしたら、再受傷が考えられるんじゃないかって思ったんだ。
そうしたら、また入院して、同じことを繰り返すことになる。
それは、患者さんからしたらADLもそうだけど QOLがかなり削られることになるんじゃないかって考えたんだ。
で、何をしたか?
それは、もう一度情報収集して、骨がつきにくい原因を洗うことにしたんだよね。
骨がつかない原因はカルテの中に
もう一度、以前に入院していたところのサマリーとうちのカルテを見返したんだよね。
こういったときって、皆さんはどこを見るんだろうか?
昔の自分であれば、リハビリの経過、その訓練内容、その人のキャラクターや既往歴に目が行くと思うんだよね。
もちろんそれも重要なんだけど、
今の自分がこのなかなか骨の癒合がつかないことに関して、最初に見るところは
内科疾患、精神状態と食事の状況
この3つなんだよね。
なんでここに目を向けたのか?
それは、骨折が通常治るべき速度が遅いってことは、体の中で何かが起こっていることが考えられる。
骨の癒合が遅い
これは折れたところに栄養が行き渡っていないからって考えるんだよね。
で、カルテを見て見ると案の定のものが出てきたんだよね。
・うつ病
・十二指腸潰瘍
・入院前は低栄養状態
・入院食は半分以上残す
・ベッドから動かない
などなど
これだけでもかなり、自分にとっては骨がつかない理由になったんだよね。
そこで、まずこの栄養状態を改善していくこと提案したんだよね。
しかし、ここで疑問が残るんだよね。
なんで今回、大腿骨だけ骨が折れたのか?
それは、打ったところが大腿骨だから、そう考えますよね。
確かにそうなんですが、おそらく他のところも打ち付けているはずなんです。
でも、他のところは折れていない。
実はこの骨折は偶然ではなく、必然かもしれない。
事件とかではなくて、あるところが悪かったことがこの骨折を引き起こし、骨の癒合を遅らせている可能性があるって考えたんです。
骨の癒合が遅い原因は…
答えから言うと腎臓が骨折を引き起こし、骨癒合を遅らせている。
実は腸の自律神経を調べて見るとL1〜L3なんです。
自律神経が今回受傷した大腿骨になんの関係があるの?
確かにデルマトームやスクレロトームで見ても、なんの因果関係がないように思いますよね。
感覚・運動神経が主だからです。
でも、人間の体は感覚・運動神経の他にもう一つの神経が大きくか関わっているんです。
それが自律神経なんです。
これはあまり知られていないんですが、Th10〜L3まで下肢領域の自律神経を司っているんです。
で今回の十二指腸潰瘍の部分と骨折した部分が自律神経の領域が合致するんです。
つまり、この十二指腸潰瘍の影響で腸の自律神経の循環がかなり悪くなっていることが考えれるんです。
自律神経は四肢に栄養を送るパイプみたいなところ。
そのパイプが何か故障したり、詰まっていたら。
いくら栄養を取っても送られない。
つまり、骨の癒合は遅くなったり、不十分になることが明白なんですよね。
なので、自分がこの患者さんに行った治療はまずは骨の癒合をしっかりするために、
L1〜L3レベルの
・マニュピレーション
・この周囲の筋膜・筋肉のリリース
・モビレイゼーション
を積極的に介入することなんだよね。
今では少しずつ骨の癒合も良好になって、荷重もかけられるまで改善。
これがそうしたのかどうなのか?
食欲も上がり、部屋から積極的に出るようになってきたんだよね。
ここでのポイントは『なぜなぜ問答』をすることなんだよね。
骨がつくことを待つだけじゃなく。
なんで、骨の癒合がこんなに遅れているのか?
それを色々な側面から考えて、その可能性に向かってトライすることなんだよね。
ただ単に、高齢者だから、倒れたから、元々体が弱いから
じゃ〜なんで上の要因で骨がつきにくいのか?
リハビリでできることは何かないのか?
そういったことを考えてリハビリをしていくことも大事って思うんだよね。
今回は、内臓関係で骨の癒合が遅れることがあるってことにも目を向けてくれれば幸いです!
PS
今回は前置きが超絶長くなりましたが、
このアイシングの話、またどこかで詳しく話したいと思います笑