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リハビリで姿勢の正中化を目指す人はヤバイ療法士!
2021.04.02from 杉山貴規 都内カフェ
「本を読みなさい!新聞に目を通しなさい!」
昔、親によく言われた言葉です。
いつまで言われ続けたか?
それは大学までなんですよね。
本当に、耳にタコが出るくらい言われたものなんです。
文章を読むのも嫌いで、作文、小論文や研究論文
とにかく文章を書くのも、読むのも大嫌いでした。
でも、社会人になり、文章を書くという作業がいかに人生において、社会人において大事かというのを実感させられたんです。
それはどういう時か?
30歳過ぎに、訪問リハビリに行った時に毎月毎月報告書を20枚近く提出するんです。
ある程度はチェック欄があるんで、そこにチェックをすればいいのですが、最後に経過報告を書く欄があり、そこをびっちり埋めないといけない変な決まりがあったんです。
それがすごい苦手で、そこで何度も何度も嫌がらせなんじゃないかというくらい書き直した記憶があります。
その当時、理学療法士は患者さんを治せればそれでいいじゃん!ってとんがっていたんです。
今思えば30歳過ぎでそれは痛いやつですよね。
でも、毎月毎月やってくるその報告書を上手く書く方法はないかと思い。
とりあえず、本や新聞を読むようにしたんです。
特に自分が読み込んだのが、天声人語と百田尚樹さんの『永遠の0』
この二つの何がいいのか?
天声人語に関しては時事ネタを要約してポイントを捉えて書いてあるんです。これが報告書を書くときにすごく役に立ったんです。
1ヶ月の情報量って多いから、文を書いていくと長くなって支離滅裂になることが多いんですが、それがこれを読み始めて亡くなったんです。
それと百田尚樹さんの『永遠の0』
これは戦時中の特攻隊の話なんですが、それを今風にアレンジしてあって、誰が読んでもわかりやすく書いてあったんです。
分かり易いっていうのは、難しい漢字や表現を使わずにそれでもって臨場感や感情を書き出しているところにすごく勉強になったんです。
これって、様々な他部門の方々に説明するときや報告書を書く時に相手の立場になって書くようになったんです。
これが、本当にきっかけになって、報告書の直しもほとんどなくなって、わかりやすいっていう報告書になっていたんです。
そんな感じで、本を読んだり新聞を読むことは、自分の人生の転換期になったんです。
で、ここからはリハビリや施術の話をしたいと思います。
ま〜この間、勉強会を探していたんです。
某サイトで色々見てたんです。
それで、かなり目についたのが姿勢からの介入っていうのがやたら多かったんです。
懐かしな〜って思い見てたんですが、
昔、姿勢を見て正中化が重要(左右に差異がないようにすること)
怪我の原因は姿勢。
左右差を見て、姿勢の左右差をなくすようなリハビリをしていたなぁ〜って思いにふけっていたんですが、
その時、なんで左右差をなくすなってことをやっていたのか?
そのなことを思っちゃったんです。
で今回、整形外科に勤めていた時に、姿勢の左右差をなくすことをやったけど結局膝の痛みがうまく取れずに終わった患者さんにつて話そうかなって思います。
そして、今ならどういう風に診ていくかを紹介できればと思います。
その膝の原因は姿勢が問題
患者さん「膝がいたんです」
そう言って、自分が担当することになった患者さん。
当時、整形外科に勤務していて、診断名が右の変形性膝関節症っていうことだったんだ。
とりあえず、軽く問診をして
姿勢の評価、歩行の評価、痛みの評価をしたんだ。
左膝に比べて、右膝が外側に向いている状態
姿勢に関しては、全体的に体が右側に倒れている感じ、
頭部、胸郭、骨盤の位置関係、足部の状態、脊柱の変形具合など、とにかく全身の姿勢を見ていくんですよね。
ま〜そうなると、これらの左右差を治すことで、歩行路の痛みや膝の曲げ伸ばしの痛みが減っていくと考えるわけなんです。
で、そこから全身のありとあらゆる姿勢を正中化に向けて行う運動療法をおこなうわけで。
全体的な姿勢の影響が膝に対して負担がかかる。
いわゆるメカニカルストレスってやつです。
しかし、この方法ちょっとやそっとの時間ではすぐには治らないんですよね。
なぜか?それはその人の長年の歩き方やくせによって構築されたものだからんです。
それでも、姿勢を正中化させるリハビリをやるんです。
すると、いい感じで痛みが引いてきたんです。
その時の自分は『さすが俺!』って感じのドヤ顔
でも、姿勢は良くなったけど、肝心の膝の痛みは良くなっていなかったんです。
さらに、膝周囲の筋力や筋緊張は左右差がそこまで変化していなかったんです。
なので、膝周囲の筋力強化や筋緊張のバランスを整えるリハビリを継続してたんですが、そこまでの効果はなかったんです。
それが、数ヶ月続き、患者さんが通ってこなくなったんです。
このころの自分って、患者さんが通うことがなくなってことで落ち込むってことはほとんどなかったんですよね。
通う通わないはその人の意思だから。
ま〜、姿勢を正中化して、痛みも来る前よりは良くなって、生活にも支障はないって聞いているから。
リハビリ成功だろってって感じ。
今になって見れば、これは本当にひどい話!
悪態を過ぎて、開き直り状態なんです。
じゃ〜、今の自分がこの人を見るときに何をするのか?
どんな風に、この人の訴えの膝の痛みを改善させていくのか?
それは、超簡単です。
姿勢をみるな!怪我をみろ!
姿勢を見るなってことなんですよね。
なんでそういう風に考えるのか?
それは、正中化にこだわってもいいことはないってことなんです。
当時の自分も気づいていたことなんですが。
姿勢ってその人の積み重ねによるものなんです。
それって簡単に治るわけがないんです。
だから、それを放っておくのか?それは違います!
姿勢をみることはいいんですが、姿勢が原因だと決め付けることが悪なんです!ナンセンスなんです!
誰でもそうじゃないですか?
例えば、
自分の場合
朝起きて、右側から起きて、右手で目覚し時計を止めて、左足から歩き始めて、シャツを身が腕から通して、右手で歯磨きをして、左手でドアを開けて出社して、、、
などなど
人それぞれの体の使い方があるんです。
スポーツ選手だってそうですよね。競技によって体の使い方って様々です。
何が言いたいのか?
使いやす方を使っていれば、それは自ずと姿勢がどちらかに傾くことは当たり前なんですよね。
筋力や可動域に左右差が出ることも当然なんです。
そこの考えを念頭に入れて、患者さんをみるべきなんです。
もし、姿勢や様々な機能を正中化をすることを主にリハビリを行うのであれば、生活を全て変える努力をやったほうが全然効率的なんです。
一度のリハビリで運動療法を行ってもあんまり成果は出てこないんですよね。
じゃ〜お前は何をやるんだって言われそうなんですが、
<自分がやるリハビリはこれ!>
もちろん、いつものことなんですが、
問診をして、何が原因かを探ってからリハビリプログラムを決定するんですが、今回はそれは割愛して話しますね。
当時の自分にかけていたのは、全体を見すぎていたことなんです。
なので、膝をまず超〜詳しく評価します。
それは、筋力、筋緊張、可動域、感覚、可動性(スムーズかどうか)はもちろんなんですが、
とく行うことがこの3つかなって思います。
痛みの評価
末梢神経の評価
自律神経の評価
なんで、この評価が重要なのか?
まず、痛みの評価なんですが、一体どこの組織が痛みを誘発しているのかを見つける必要があります。
だって、何が原因の前に、損傷している箇所を治す必要がありますよね。その損傷部位をどのように正常に戻すことが重要なんです。
安静にするのか?
動きながら治していくのか?
負担をかけないようにしていくのか?
ここで間違うと、組織が治癒しないので、いくらリハビリしても意味がないですよね。
末梢神経の評価も重要です。
筋肉を動かしているのは末梢神経ですよね。
例えば、この神経系に何か問題があった場合、いくら筋力がついたとしてもうまく筋力を発揮してくれませんよね。つまり、よくしても動きが悪い場合、再受傷してしまうリスクが出てくるんです。
最後に自律神経なんですが、
これが肝なんです。
様々な組織の栄養はこの自律神経が運搬しているです。なので、この機能が脆弱であれば、いくら運動しても筋力はつかないし、損傷した組織の治癒にすごい時間がかかるんです。
こんな感じで、今の自分ならこの考えのもとリハビリを展開していきます。
やはり、当時の自分に足りないのは圧倒的な知識量なんです。
人間は様々なもので構成されています。
それを筋肉や関節だけで考えることはナンセンスなんです。
そのいい例が姿勢からの介入
姿勢からの介入でよくなったことも自分は経験しています。
しかし、それを説明するときにやはり姿勢を正中化したことで痛みが取れたとか跛行がなくなったっていうことではないと思うんです。
姿勢をよくしたことで、様々な機能がスムーズ働いて、痛みが取れたって感じなんじゃないでしょうか。
当時の患者さんを今見ることができないので、こんな感じの説明しかできません。
でも、です。
今の自分であれば、姿勢を治すことはあっても、『正中化』することは絶対にしません!
なぜなら、人それぞれ体の使い方は様々だからです。
その人が長年の人生培ってきた、自分にあった身体だからです。
それを正中化することは、スムーズに機能しないからで生活することになって、不自由に感じるからだと思ってます。
家の近くに超円背の農家のおばちゃんがいますけど、どこに痛みもないし、普通に生活しているんです。
そう考えれば、姿勢を正中化することは特に意味がないって考えています。
ってな感じで、最後はちょっと喧嘩腰の口調になちゃいましたけど、
兎にも角にも、痛みを見るときにまずは姿勢からではなく、その患者さんが訴える様々な症状と、その人自身を見つめていくことが重要かなって思っています。
PS
今となっては、3000字以上のブログを特に苦にならずにかけるまでになったんです。
親に散々言われたあの言葉を、実践していれば、訪問リハ時代にあんなにリハ課長の横に立って何度も謝らずに済んだのになぁ〜
ま〜今となってはそれが転換期。
人生なんてどこでどうなるかわかりませんよね。
でも、親の言うことは正しい!
最近は幼少期言われたことを思い出しながらチャレンジしています!