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ずっと引かないお皿裏の痛み | 日本オランダ徒手療法協会

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ずっと引かないお皿裏の痛み

2019.04.26

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

5月の連休に何をしようかとずっと考えている黒田です(笑)

 

次の年号は「令和」です。

 

このくだり結構使われますね。僕も「令和」ブームに乗っかってみました(苦笑)

 

これが発表されたのは4/1の11時40分ぐらいだったでしょうか?その時僕は仕事中でしたが、同僚と固唾を飲んでテレビを見ていました。

 

正直、後からニュースで見ても良いかなぁとも思っていたのですが、その時間帯になるとなんだかソワソワしちゃって、ついテレビを見ていましたね。

 

「平成」が発表されたのは約31年前。僕はその時まだ0歳。リアルタイムではもちろん知りません。何かのテレビ番組では見たことがはありましたけどね。

 

「平成最後…」ということで最近はよく平成を振り返る番組が多いですよね。

 

色んな出来事やブームがありました。実際にそんな番組があっていると

 

「あーこれ!あったあった!」

 

とちょっと嬉しくなっちゃいますよね!

 

色んな事件や事故、災害など悲しい辛い過去もありますが、流行になったことやテレビドラマ、音楽、洋服など…楽しい面白い過去もありましたね。

 

特に今の時代には考えられませんが、90年代はCDが山のように売れていましたよね。おそらく20代前半ぐらいの人は知らないと思いますが(苦笑)

 

TK、つんく、秋元康など音楽プロデューサーが活躍しました。今聴いてもとっても良い曲が多いですよね!

 

そうやって、平成を振り返る番組を見ていると、その時自分は何をしていたかぁとふと考えてしまいます。

 

懐かしいなぁ〜とか、あの時もっとこうしておいたら良かったなぁ〜と後悔したりとか色んな思いになりますよね。

 

僕は臨床ではどちらかというと後悔や悔しい思いをしたことの方が多いかもしれません。

 

ということで過去を振り返る意味で、昔僕が診ていた膝痛の患者さんのことを今回は紹介しようと思います。

 

今までやっていたことが通用しない膝痛…

その患者さんは40代の女性。趣味がバレーボールでその最中に左膝の前十字靭帯を断裂しました。

 

その当時クリニックに勤めていた僕は外来で術前のリハビリを担当しました。そして、手術は大学病院で行い、その後別の病院にリハビリ目的で約1ヶ月半ぐらい入院されて退院。

 

退院後、外来リハでまた担当することになったんです。

 

その時術後約3ヶ月。

 

基本的に治療やトレーニングは大学病院のプロトコール(術後のリハビリ計画)に沿って行っていきます。

 

その時少しずつ左膝に負荷をかけてもいい時期だったのですが、スクワットや階段昇降の際に左膝に痛みが出て来ていたんです。膝の前面で膝蓋骨あたりに痛みがありました。

 

前十字靭帯の手術はほとんどが関節鏡で行います。そしてこの関節鏡は膝蓋腱の脇あたりから入れ込むので、膝蓋腱や膝蓋下脂肪体などは癒着を起こしやすいんですね。

 

なので、前十字靭帯の術後は膝蓋骨周囲の痛みが出やすい!

それにスクワットや階段昇降など、膝が屈曲位の時には大腿骨に対して膝蓋骨が強く圧迫されるので痛みが出やすい場面なんです。

 

勉強していた僕にとってはそこまでは想定内!

 

治療としては膝蓋骨にかかる圧を減らすために

 

・膝蓋骨のモビライゼーション

 

・膝蓋腱/膝蓋下脂肪体のリリース

 

・大腿四頭筋のリリース、ストレッチ

 

・大腿筋膜張筋のリリース、ストレッチ

 

などを行おうと思ったんですね。

 

膝伸展機構と呼ばれる大腿四頭筋ー膝蓋骨ー膝蓋腱が全体的に短くなってしまうと、大腿骨に膝蓋骨がより強く圧迫されるので、これらを緩めることが大事なんですね。

 

しっかりと、これらの手技をやっていました。

 

ですが、スクワットや階段昇降の場面では全くと言っていいほど、痛みが引かない!

 

今までにも同じような患者さんはいたけど、少なからず痛みは減っていたんですが、この患者さんは全く変わらなかった。

 

これは想定外でした(涙)

 

実はこの患者さんを診ていたのはオランダ徒手を学ぶ前のこと。その当時の僕には「ある概念」がなかったんですね。

 

おそらく「その概念」を知っていれば痛みの原因も分かっただろうし、治療の仕方も変わっていたと思うんですね。

 

軟骨も叩けば強くなる!!

あなたは僕が何を言っているのか分からないかもしれませんね(汗)

 

この患者さんはそもそもいくら膝蓋骨にかかる圧をモビライゼーションやリリースで減らしても、スクワットや階段昇降に耐えられる軟骨自体の強さがなかったんですね。

 

我々オランダ徒手ではそれを「抵抗力」と呼びます。軟骨の抵抗力がなかったんです。

 

「抵抗力」とは読んで字のごとく、

 

・外部からの負荷に対して耐えられる

 

・組織の強度

 

のような意味です。

 

なので、この患者さんにはモビライゼーションやリリースなどの徒手療法に加えて、軟骨を強くするための運動療法が必要だったんです。

 

あなたもやっていると思いますし、僕も昔よくやっていたのですが、ある動作で痛みのチェックをした後に、ある手技を行ってみて、再度その動作をさせてみて痛みをチェックする…という流れ。

 

きちんと評価と再評価をする点はもちろんGOODです!

 

ですが、そもそも軟骨はスクワットや階段昇降に耐えられていないので、おそらく色んな手技を何度もやっても意味はなかったんではないかと今となっては思います。

 

では、具体的にどうしたら「軟骨が鍛えられるか?」

 

もちろんきちんと徒手療法は継続的に行いながらなのですが、

 

痛みがない動作にまで負荷を下げるんですね。

そして、負荷とはここでは「強度×量」と定義します。

 

ある動作をさせた時にその場で痛みが出た場合は負荷の中でも「強度」が高過ぎます。

 

強度とは筋トレで言うとウエイトの重さと考えて良いです。

 

なので、強度を下げるという意味では

 

・重り → 自重

 

・フルスクワット → 1/4スクワット → 1/8スクワット

 

というようにとにかくその場で痛みが出ない範囲まで強度を下げます。

 

その見極めがある程度出来たら、今度は少しずつ「量」を増やしていくんですね。

 

そして「量」がある程度増えていったら、今後はまた「強度」を上げていく…。

 

というように、目標とするレベルまでこの過程を踏んでいくんです。

 

軟骨も鍛冶屋のように少しずつ叩くように刺激を加えると硬く強い軟骨になっていくんですよ!

 

このようにすると、多分昔は痛みをとってあげることが出来なかったこの患者も良くしてあげられるんじゃないかなぁと思います。

 

ある手技をやって一発で治ったらとても良いですが、それが出来る患者さんと出来ない患者さんの見極めはとても大事ですね。

 

いくら手技をやっても治らない患者さんには運動療法が必要かもしれません。

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S

さぁ、5月からは「令和」時代!悔いがないように残り少しの平成を楽しみましょう!


この記事を書いた人

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黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。