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「抵抗力 vs 負荷バランス」で強くなるもの(骨) | 日本オランダ徒手療法協会

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「抵抗力 vs 負荷バランス」で強くなるもの(骨)

2017.04.11

 

「筋肉を強くする」

というのはイメージしやすいですが、その他の組織(骨や腱、靱帯)も同じように強くすることができるのをご存知ですか?

 

日本オランダ徒手療法協会の代表理事である土屋 潤二 氏が、月刊スポーツメディスンの連載記事のなかでわかりやすく解説していますので、ご紹介します。

 


 

月刊スポーツメディスン No.185 11月号 2016年

連載 細胞/組織レベルの体内環境を考えることで治癒効果を引き出す①

-治癒経過を阻害する要因ごとにアプローチを変えろ!-

 

以下、T:土屋潤二、S:生徒で示し、対話形式で、オランダ徒手療法の考え方を示していきます。

 

「抵抗力 vs 負荷バランス」で強くなるもの:骨

T:骨を強くするには?

 

S:小さい子供がいるので、これは知っています。骨密度を高めるためにカルシウムをとって、太陽の下、運動させることです(自信)!

 

T:ん〜、半分ぐらい合っていますが、完全には仕組みをわかっていないようですね。そもそも骨は、「柔軟性」「弾力性」「可塑性」という3つの特徴が揃ったときに健康で丈夫な状態になります。

 

つまり、「丈夫で折れにくい骨」=しなる骨×跳ねる骨×戻る骨…のことで、カルシウム成分だけでは硬くなるけれど柔軟性のない脆い骨になってしまいます。

 

S:太陽や運動は?

 

T:丈夫で折れにくい骨は、実は、「骨タンパク質のネットワークの密度」×「そのネットワークの隙間にはまり込むカルシウム量」で決まってきます。骨タンパク質がない状態でいくらカルシウムを摂取しても、骨には定着することができず、余ったカルシウムは内臓へ向かい石灰化してしまいます!

 

カルシウムを定着させるための骨タンパク質のネットワークを骨内中に張り巡らせ(量)、その密度を高める(質)ために、栄養としては「コラーゲン」、そしてコラーゲンを合成する「ビタミンC」が必須です。

 

S:骨折しやすい骨とは「骨がスカスカ」=「骨密度が低い」=「カルシウム量が少ない」けれど、「カルシウム量が少ない」から「カルシウムをとる」というのは間違い?

 

T:そう、正しい対策は以下の流れです。

①「骨のカルシウム量」が少ない(大変だ!)。

↓ だから

「コラーゲン×ビタミンC」をとる

↓ その結果

「骨タンパク質のネットワーク」が量/質ともに向上

↓ ②紫外線(ビタミンD)と運動(振動)

「カルシウム」がネットワークに定着=骨密度改善↑

 

つまり、骨タンパク質が骨密度を支えていると言っても過言ではないんです!

 

さて、ネットワークができてからは、その隙間にカルシウムを定着させるために、「運動」と「紫外線」がカギになります。カルシウムの定着には、小腸や腎臓からカルシウムを吸収して血中カルシウム濃度を高める「ビタミンD」が必要ですが、これは「紫外線」を浴びることによってのみ体内で合成することができます。

 

一方で、「運動」は、直接の骨への振動や圧力で、骨がマイナスの電位を帯びる「圧電効果」を引き起こし、プラス電位を帯びたカルシウムが骨に定着するのを助け、骨芽細胞の働きを活発にします(図2)。

 

 

ですが、運動をしていなかったり(不動)、反対に運動をやりすぎたり(オーバーワーク)、食事からのカルシウム摂取が日常的に不足すると、骨はカルシウム量を一定にするための貯蔵タンクの機能も兼ねているので、不足して必要な場所でカルシウムを使うために、骨から溶け出すカルシウムが過剰になり、骨が脆くなっていきます。

 

それだけでなく、血中に増えたカルシウムが血管の内側にたまり、ひいては高血圧や動脈硬化の原因リスクとなります。

 

S:ありがとうございます。「へぇ〜」の連続ですが、まずは【骨=カルシウム】と考えるのだけはやめます。

 

…続く。

 

 

※なお、この文章は編集部の許可を得て掲載しております。

 

月刊スポーツメディスンについては、下記のサイトを参照ください。

Book House HD

 

 


この記事を書いた人

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土屋 潤二

初のオランダ国家医療資格である「徒手療法士」。サッカー界に明るく、筑波大、オランダサッカー協会のインターン、サッカーの名門フェイエノールト・ロッテルダム、Jクラブの名古屋グランパスや横浜Fマリノス、SC相模原、陸上ホッケー女子日本代表、FC岐阜、プロゴルフなどに関与。国内外のアスリートやチームをサポートし続けるスポーツサイエンティストとの顔を持つ「医療」と「体力トレーニング」との2分野での専門家。