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治らない腰痛は評価し過ぎ⁉︎ | 日本オランダ徒手療法協会

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治らない腰痛は評価し過ぎ⁉︎

2019.08.06

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

普段テレビをあまり見ない僕ですが、この前つい見入ってしまったんです。

 

どんな内容だったかというと、「伝説の交通事故鑑定人SP」。

 

???

 

一目ではよく分からなかったので、興味半分で見始めました。

 

すると、これがめちゃめちゃ面白かったんです!

 

交通事故で記憶を失ってひどい後遺症を負ってしまったある男性。1ヶ月程意識不明になっている間に、相手方の証言だけでその事故がかたづけられてしまったんです。

 

しかも、ひどい後遺症を負ってしまったにも関わらず全ての過失は男性側に。

 

保険金も大幅にカットされるなど、人生に悲観していました。

 

さらに相手方のトラックも自分が乗っていたバイクも既に修理や処分済み。残っている事故証拠は事故後のトラックとバイクの写真3枚のみ。

 

一度は裁判を起こすも証拠不十分で敗訴。

 

もうどうしようもない…。

 

途方に暮れていた所に様々な縁で「伝説の交通事故鑑定人」に辿り着いたのです。

 

鑑定人はその3枚の写真を見ただけで「君(男性)は何も悪くないよ。トラックに過失がある」そう言ったんです。

 

その鑑定人は写真にある細かな傷の方向や凹みの深さなどからどのようなぶつかり方をしたのかを予想しました。

 

男性はこれらの鑑定にもとづいて資料を作成。裁判を再度起こし、逆転で勝訴したんです。相手方の過失が認められたんです。

 

まさにプロフェッショナル!

 

僕たちもこの鑑定人に似ているところがあると思います。

 

何もないところから問診や検査を行い、症状を引き起こしている証拠を集めていく。

 

そして、そこからストーリーを作ります。

 

ただ、色々と証拠を集めすぎると逆にそれはそれで解釈するのが大変になります。

 

特に腰痛の評価ってたくさんあるから困ります(涙)

 

全部やっていたら大変な事になりますよ、僕みたいに(苦笑)

みんなが悩む仙腸関節

 

過去の僕の話ですが、50代女性で仙腸関節痛の患者さんがいました。

 

痛みの部位はピンポイントに右の上後腸骨棘(PSIS)付近。

 

長時間の立位で右のPSISと右大腿外側部に違和感が出てくるとのこと。

 

恐らく右大腿外側部の違和感は関連痛だろうと仮説を立てました。

 

仙腸関節の神経支配 → L5,S1

大腿外側部の神経支配 → L5

 

仙腸関節と大腿外側部は同じ神経支配になるのです。

 

ということで僕は仙腸関節の評価をしてみる事にしました。

 

・立位骨盤アライメント(ASIS、PSIS、腸骨稜の高さ)

・片脚立位(挙上側)のPSISの動き

・片脚立位(荷重側)のPSISの動き

・前屈のPSISの動き

・座位骨盤アライメント(ASIS、PSIS、腸骨稜の高さ)

・臥位骨盤アライメント(ASIS、PSIS、腸骨稜の高さ)

・仙骨のアライメント

・仙腸関節の遊び

 

、、、(苦笑)

 

ひとつひとつを解釈しつなげようと試みるも、全然繋がらなーい(汗)

 

で、結局したのは右の仙腸関節のモビライゼーション。

 

結果はお察しの通りです(涙)

 

あなたにもこんな経験ありませんか?

 

手当たり次第に評価はするけど、評価の結果何かしら問題はあるけど、結局治療は何をしたらよいか分からない。

 

特に症状が複雑な腰痛であれば尚更たくさんの評価をしてしまいますよね?

 

実は腰痛の場合、細かな評価をする前にやらないといけないことがあるんです。

 

そして、いかに評価をシンプルに出来るかがポイントになります。

あえて痛みを出す!

 

まず、細かな仙腸関節の評価をする前に「痛みを再現」しないといけません。

 

この患者さんの場合は、長時間立位で痛みが出てきます。

 

ただ、痛みが出るまで立ってもらうのは時間がいくらあっても足りないので、どのような動きをしたら同様の痛みが出るのかを見つけます。

 

屈曲や伸展、左右側屈、左右回旋…

 

とあらゆる方向に動いてもらい確認します。

 

それでも痛みが出ない場合は

 

・最終域まで動いてもらった後にさらに治療者が圧を加える(オーバープレッシャー)

 

・3次元的に屈曲や側屈、回旋を組み合わせる

このようなことをして痛みを再現する動きを決めます。

 

それが決まったら、次に問題があると思われる仙腸関節の評価を行います。

 

ですが、ここでも全ては行いません。立位での痛みなので片脚立位での評価ぐらいでよいでしょう。

 

ここで何か所見が得られたら、実際にその所見を改善させるための治療を行います。

 

その後同様に仙腸関節の動きや痛みを再現する動きを再評価します。

 

シンプルにまとめると

 

①痛みが再現される動きを見つける

 

②仙腸関節の評価

 

③治療

 

④仙腸関節の再評価 →改善してたら⑤へ、してなかったら再び③へ

 

⑤①の動きで再評価する

 

ねっ!簡単でしょ!

 

この患者さんは伸展動作が痛みを再現できていたのでこれを治療の一番初めに確認すべきでした(汗)

 

、、、

 

痛みを再現せずに治療を始めると、細かな評価ばかりに目が向きがちです。

 

すると、治療して動きは変わっているけど、痛みは変わらない…こんなことがよくありあます。

 

評価をシンプルにしておけば、効果がなかった時にすぐに別の評価に変えることもできますよね。

 

評価自体の知識はあっても、どの評価をどのタイミングで行うのかは臨床推論の話になってきます。

 

きっと良くなった患者さんの時にはシンプルな評価が出来ているはずです。上手くいかない時こそ上手くいったときの自分が行なっている評価を思い出してみたらいいと思いますよ!

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

P.S

最近治療した仙腸関節痛はこのような感じでシンプルに評価していくとさほど難しくなく痛みが取れましたよ!

P.P.S

僕もこの交通事故鑑定人のように本当に困っている人を助けられる治療家になりたいと改めて思いました!


この記事を書いた人

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黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。