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ひざ痛の裏に隠れていた危険な疾患
2019.07.08from 黒田雄太 自宅デスクより
最近メルマガに何を書こうか迷う黒田です(苦笑)
と言っても、あなたの為になるコンテンツの部分ではなく何気ない始まりの「この」部分のこと(汗)
今回はネタがない事をネタにしようと思います(笑)
この部分って日常生活のことをネタにすることが多いんですけど、どうも最近ネタ切れ気味です。
つい先日陸上のサニブラウン選手が100mで日本新記録を樹立したんですけど、サニブラウン選手は前にもネタにしたし。
テレビで何か無いかなぁと思っても、最近テレビ見ずにすぐに寝るし。
もうどうしようもないですね(涙)
何か面白いことが起こらないかなぁという思いもあるんですけど、なかなかそう簡単には起こらないんで、むしろ自分から起こしにいくぐらいの気持ちで最近は日常生活を送っています(笑)
でもそんな感じで日々の生活を観察していると、意外とスルーしてしまいがちな事が実は結構面白いことがだったりするんですね。
そう思うと日常生活って単調に見えて自分の見方次第ではずっと面白くなります。
同じものを見ていても人それぞれで見る部分も違えば、感じる事も違いますよね。
最近感じるのは病院でも同じようなことが起こっているなぁって。同じ1人の患者さんを見ているのに、当たり前ですけど職種が違えば全然見ている部分が違います。
今回はそんな事を感じた時の出来事を紹介しようと思います。
フーッ、なんとかネタになった!(笑)
老人ホームでの出来事
「膝が痛いみたいなんで、診てくれませんか?」
看護師からこんな依頼がありました。
老人ホームには常勤の医師が居ないので、痛みが出たりいつもと違ったことが起こるとリハビリ職が確認することがあります。
話を戻して。
普段は杖なしで歩いている90歳のおばあちゃん。その日は午前中に膝の訴えがあったとのこと。そして、お昼ご飯を食べた後にトイレに行こうとしたところ、痛みのせいでふらつきがあり歩けなくなっていたようなんです。
そんな情報をもらって、僕が確認してみたんです。
本来はしっかりと問診をするのですが、この方は少し認知症があります。
なので、痛いか痛くないかの程度は問診しつつも、視診や触診なども並行して行いました。
・炎症所見:腫脹、熱感、発赤などなし。
・圧痛:左膝蓋腱のあたりにわずかにある程度で著名な圧痛点なし
・膝の可動域問題なし。
これらの情報から行くと痛くてふらつきが強くなって歩けないという程のものではないないのになぁと思いました。
そこで、実際に立位の状態で膝にメカニカルストレスをかけてみようと思い、立ってもらいました。
すると、全然足に力が入っていなかったんです。靴を履こうと思っても上手く履けない。やっとの事で立った後も膝折れしそうになる。
こりゃ、腰が問題かなぁと思いました。
確認で筋力を確認すると左が筋力低下がありました。さらに筋肉の緊張も低下している感じ。
ただ、ここでもちょっとした違和感が…
腰の神経根症状であれば、もちろん筋力低下は起こるのですが髄節レベルごとで生じるんですね。
でも、この方の筋力が落ちていたのは腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋などと複数の髄節にまたがって筋力が落ちていたんです。
僕はその時ちょっと嫌な予感がしていました。
それを確認する為にある事をしてもらうと…嫌な予想が的中してしまったんです。
直ぐに僕は看護師に連絡を入れました。
実はこの患者さん〇〇だったんです。
レッドフラッグ:脳梗塞疑い
僕が確認したのは上肢挙上の動き。実際にしてもらうと筋力が落ちていた左下肢と同側の左上肢も挙上できなくなっていました。さらに挙上した状態もキープ出来ずにスーッと落ちていく。
なので、直ぐに看護師に連絡して嘱託医を呼んでもらったんですね。
嘱託医に往診してもらい、そのまま大きな急性期病院に救急搬送しました。幸い会話はできる状態で意識もはっきりしていました。
病院でMRIを撮ったところ、はっきりと脳梗塞を起こしていました。
気が付いたのが早かったので、入院することなく施設で抗凝固剤の内服で経過を見ることになりました。
その方現在も特に後遺症も起こることなく元気に過ごされています。
、、、
元々今回紹介した患者さんには膝の痛みがありました。なので、看護師さんは歩行のフラツキがあると聞いて膝が原因だと思ったのでしょう。
確かに脳梗塞を起こした時にも若干は膝の痛みがあったかもしれませんね。
僕も膝が痛いという情報だったので、どんな膝の状態だろうと想像しながらその方の元に行きました。
ただ、そこで膝だけしかみていないと、もしくは膝が問題なんだと強い固定概念を持っていたら、おそらく見逃していたと思います。
あなたも臨床で「なんか変だなぁ?」というちょっとした違和感を感じることがあると思います。でも、それをそのままにして治療を進めていくと、もしかしたら今回のようなレッドフラッグが隠れているかもしれません。
「治療すべきか?すべきでないか?」
「するとしても、どこまでするのか?」
ここを判断するのが問診をはじめとした情報収集の大きな目的です。
患者さんが自分の元に来たら直ぐに評価や治療をしてしまうあなた。このようなケースは稀かもしれませんが、いつ自分に当たってもおかしくないという気持ちで臨床をしてくださいね。
次にレッドフラッグに当たってしまうのはあなたかもしれませんよ。
【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように
P.S
次のネタは最近買った本のことにしようと思います!とても面白かったのであなたとも情報をシェアしようと思います。ただ、もっと面白いことがあったらそれをネタにしますけどね(笑)