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半月板損傷のリハビリテーション -オランダ徒手療法- | 日本オランダ徒手療法協会

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半月板損傷のリハビリテーション -オランダ徒手療法-

2017.05.03

 

半月板のリハビリテーションに関しては、多くのプロトコールが存在します。

 

しかし、今回はプロトコールとは一味違う、オランダ徒手療法が考える、半月板の物理的な抵抗力を上げる方法をお伝えします!

 


 

月刊スポーツメディスン No.184 10月号 2016年

連載 「抵抗力 vs 負荷バランス」を理解する

-受傷分析、リハビリ後の復帰、再発防止に関してカギとなる-

以下、T:土屋潤二、S:生徒で示し、対話形式で、オランダ徒手療法の考え方を示していきます。

 

 

半月板の物理的な抵抗力を上げていく手順

 

T:では、膝内側の半月板を痛め、そこを強くしていくにはどうしたらいいでしょうか?体重をかける/かけないからはじめて、どのようなステップで行いますか?

 

 

S:ええっと、確かプロトコールでは、荷重量をコントロールして→角度を変えて荷重をして→踏み込みをしてみたり→徐々に踏み込む角度を変えたり→2ステップにしてみたり→キャリオカステップにしてみたり、着地してみたり跳んでみたり…。

 

 

T:なかなかいいですが、飛ぶときは体重の何倍もの負荷がかかるので注意が必要です。そこに至るまでに、スクワットでの荷重量を増やすことが必要となります。

 

質的にも量的にも大丈夫になれば、着地をさせたりランニングをさせたりという順番の方が安全ですね。ただし、これで復帰ということではありません。

 

これらは半月板に対して、縦軸方向の強度を強くしていく運動になります。運動は「縦軸方向のストレス」だけではなく、「回旋方向のストレス」も入るので、回旋に対する強度も強くしていく必要があります。

 

サイドステップでも回旋が入るし、ジグザグに走ったり、方向転換をしたりして、「縦軸方向のストレス」に加えて「回旋方向のストレス」を加えていきます。

 

そのようにして強度が増したら今度は、方向転換の練習を徐々にスピードを増したり、着地と同時に方向転換をするなど負荷強度を上げながら行っていく必要があります。

 

では、これらが強くなったら復帰をして大丈夫ですか?

 

<写真 引用元>
http://global.sklz.com/jm-en/products/soccer/soccer-performance/quick-ladder-pro

 

S:スポーツ動作を実際にやってもらい、動作を見ながらどのくらい動けるのかの確認をします。その様子で、個人トレーニングにするのか集団トレーニングに合流するのかを判断します。

 

 

T:おお、もうすっかり専門家として考え始めましたね!では、実際のスポーツ動作ではありえないような角度や負荷での動作練習はした方がいいですか?

 

 

S:ありえないかもしれないけど、もしかしたら起こりえるのであれば、その特別な動作練習はした方がいいと思います。

 

 

T:その通り!試合やトレーニングを超えるような場面に出会うことはほとんどないとは思うけれど、それを超えるようなことをやっておけば、組織もさらに上部になることから局所の余裕度が増します。

 

加えて、本人の自信にもなって安心感にもつながり、復帰しても大丈夫という言葉の説得力が増します。ここで大事なことは、トレーニングの負荷設定で、スポーツ現場復帰以上にトレーニング手段を設定することです。

 

みなさんが知っての通り、病院で行っているリハビリは、抵抗力を上げるということをそこまで考えていることは少ないですね。ですが、日常生活でも同様のことが言えるので、日常生活レベル以上まで強化するリハビリが必要となります。どんどん臨床で経験しましょう。

 

 

まとめ

 

1.抵抗力とは、物理的な外的な負荷に対しての組織の耐えることのできる「強度×量」のことである。

 

2.急激な負荷の変化では痛みを生じやすいが、組織の抵抗力の範囲内で長期間かかって変化した組織では、単に長さや強さが適応して変化して圧迫ストレスや伸張ストレスがないので、痛みは生じないことが多い。

 

3.組織に対して圧縮・減圧ストレスのどちらか一方しかない場合は、スポンジ効果が得られないため、間質液の流動による栄養供給が減少してしまい、萎縮癒着繊維化が起こってしまい、ひいては抵抗力が低下してしまう。

 

4.抵抗力は、トレーニングや動作におけるその組織にかかる負荷量を調整することで、強化することができる。

 

5.安全なスポーツ復帰のタイミングは、そのスポーツでかかる負荷以上の負荷がかかっても大丈夫な抵抗力がある状態が理想的。本人の自信や治療者の言葉の説得力が増す。

 

 

※なお、この文章は編集部の許可を得て掲載しております。

月刊スポーツメディスンについては、下記のサイトを参照ください。

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この記事を書いた人

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土屋 潤二

初のオランダ国家医療資格である「徒手療法士」。サッカー界に明るく、筑波大、オランダサッカー協会のインターン、サッカーの名門フェイエノールト・ロッテルダム、Jクラブの名古屋グランパスや横浜Fマリノス、SC相模原、陸上ホッケー女子日本代表、FC岐阜、プロゴルフなどに関与。国内外のアスリートやチームをサポートし続けるスポーツサイエンティストとの顔を持つ「医療」と「体力トレーニング」との2分野での専門家。