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治療に「自衛隊式」見えない敵を想定したすごい訓練を生かす?!
2021.04.02「自衛隊式」見えない敵を想定したすごい訓練
久しぶりの投稿。
今回は最近目にした情報から
『「自衛隊式」見えない敵を想定したすごい訓練』について
written by 土屋潤二 from 博多のホテル
近隣とのトラブル、コロナのような未知の病、気候変動、地震…あらゆるシーンで遭遇する思いもよらない「想定外の困難」。テーマにあるように自衛隊では、正体不明の敵であっても、何とか対応して戦わなければならない。
敵の存在や正確な実態がわからないと、不安や心配がどんどん強く、そして増えていきます。これを防ぐために、自衛隊では徹底的な情報収集と分析をして、敵の正体を何とか少しでも明らかにしていきます。
最初、正体が不明の敵であったものが、理解を深める過程で、対応可能な障害へと変化していくというのです。こうなればラッキーで、自分自身の心もコントロールが可能になります。それまで得体の知れない恐怖心だったものを、適切な緊張感に変え、十分に備えられるようになる…というわけです。
「自衛隊」に合って、医療従事者にないもの
われわれ医療従事者は、危機意識を忘れていませんか?「自衛隊」に合って、医療従事者にないものは、この「危機意識」ではないだろうか?ひとりの医療の専門家として、必死に根本原因をみつめ、よりよい解決策を見つけようと必死にもがいているだろうか?
もし今のあなたの治療が、ノンビリと何にも考えずに、いつも同じ治療をしているなら、あるときに大きな失敗をすることでしょう。
すなわち、
- 禁忌とは知らずに治療をしていたり、
- 怪我や病気が悪化しているにも関わらずにその変化に気がつかなかったり、
- 十分な支持力もないのにプロトコールの予定どおりにすすめてみたり、
- 痛みがあるのに無理をして動かしたり
- 絶対安静にしていれば症状が緩和するとアスリートが復帰するレベルの負荷を受け止められるまでリハビリを十分にしなかったり
…こんなことをしていれば、復帰ができなかったり、再発したり、もっと大きな問題に直面することになります。
正体不明の相手を「見える化」する自衛隊
自衛隊では、自由対抗方式の戦闘訓練を行います。対峙する部隊は互いに、相手の兵力や予想される行動の分析を行い、対抗策を準備して、敵の動きを封じたり、無力化したり、また奇襲を受けないように作戦を考えます。
さらに実戦となった場合は、相手の指揮官の性格や受けた教育の内容、今まで経験した訓練の内容まですべて調べます。敵の特性に関する情報を収集し、敵の「見える化」ができれば戦いは非常に有利に展開できます。
「積極性を好み、攻撃の訓練を多く行ってきた指揮官」という情報がわかれば、敵の指揮官がどういう行動を取るのか読みやすくなります。また、「防御訓練をほとんど行っていない指揮官」ということがわかれば、防御を行わざるを得ない状況を作ることによって、敵の不得意なステージで戦うことができます。
一方、敵を見つけることができなかったり、あるいは存在自体が不確かであったり、実態が不明確だったりすると、正確性の低い情報に踊らされ、心が乱れ、消耗してしまいます。つまり、敵がどのようなものかを冷静に突き止めていくことは非常に重要なことなのです。
『治療の構造』を知ること
ほとんどの日本の医療現場では、ここまでの緊迫感はありえない。ですので、情報を集めたり、その情報から推測して考えて治療をしている人は少ないのでは…とわたしは思っています。
ちまたでは、直ぐに解決できるような理論やテクニックがもてはやされていますが、その光景は、まさに正確性の低い情報に踊らされ、結果がでたり、でなかったりしている今の医療現場ではないだろうか?
ひとつひとつのテクニックや理論、それ自体を習得することは間違いではないし、むしろ知っていなければならない。けれども、臨床でずば抜けて成果を出しつづけている人はそんなことよりももっと大事なことを理解し、実行している。
成果を出しつづけている人は『治療の構造』を知り、成果をだす『治すための体系的なセオリー』に沿って情報を集め、推測し、個々に判断をして治療を進めている。
まずはそのことを知ることからはじめよう!