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多裂筋再教育が腰痛を治す鍵!
2020.03.26from 黒田雄太 @自宅デスクより
何事も基礎が大事!
ただ、これは誰か成功者の言葉ということではなくて最近僕がとある場所を見てふと思ったことです。
それはとある工事現場(笑)。最近はマンションやホテルの建設が多いですよね〜。
基礎工事は結構長いんですが、それが終わるとあっという間に綺麗な建物が建ちます。
あと、学生時代にやっていた組体操なんかもそう(笑)。
今となってはなかなかリスキーなことをやっていたなぁと思います(汗)。
ピラミッドだと土台がしっかりと綺麗に並んでいないと、一番上の人はしっかりと立てないんですね。
本当に立つ必要があったかは今も疑問ですが(苦笑)。
だらだらとまとまりのない話が続いたんですけど、結局一番言いたいことは土台が大事で、しっかりと基礎を固めていないとその上には何も積み上げられないということ。
これは施術後の運動療法でも同じなんですね。
しっかりと低負荷の簡単な運動からやっていかないと、負荷が高い運動はできないんです。
できているつもりでも実は効果が出ていないこともあります。
今日は腰痛の患者さんに行った運動療法で基礎の大事さを改めて感じたのでその時のことを紹介したいと思います。
ケース:40代男性、腰痛、趣味マラソン
問診によると現在の症状は次のような状態でした。
・体幹を曲げると痛い
・痛みの部位は左の下位腰椎
・腰全体は張る感じ
・長時間同じ姿勢がつらい
・起床直後に強い腰痛
・でも動いていると楽になる
特徴的なのは「起床直後の強い痛み」と「動いていると楽になる」ということです。
これは「不安定性腰痛」の特徴的な症状です。
不安定性腰痛とはその名の通り腰椎が不安定になっていること。
不安定になる理由は様々ですが、ギックリ腰などの強い痛みを感じた時に多裂筋が機能不全になっても起こりますし、
運動不足や長時間同じ姿勢をとる習慣があると、椎間板が薄くなってしまい、その結果椎体間の靭帯が緩み不安定性が起こるということです。
このブログで何度も出てきている病態です。
治療方針もご存知かもしれませんが、”椎間板を厚くすること”と”多裂筋を再教育” がメインになります。
そして、多裂筋をしっかりと再教育した後に、ドローインやプランクなどのコアトレを段階的に行っていくのが不安定性腰痛の運動療法の基本です。
なんですが、実は多裂筋の再教育自体もちょっとずつ段階的に負荷を上げていく必要があるんですね。
このことに今まで触れたことがなかったので、今日は多裂筋の再教育の実際について紹介してみたいと思います。
多裂筋再教育はこの順番で行う!
どのような順番かというと、
①他動運動
②自動介助運動
③自動運動
④抵抗運動
この①〜④を意識して行います。
特に重要視するのは①の他動運動です。
再教育なのに、患者さん自身が全く動かさない他動運動が大事な理由は、多裂筋の特徴にあります。
多裂筋は固有受容器といって、位置や関節変位の情報をキャッチする受容器がとても豊富な筋肉なんです。
そして、多裂筋が機能不全を起こしている時にはその固有受容器の働きも低下しているので、いざ多裂筋を働かそうとしても、どのように動かしたらよいのかが全然わからないんですね。
なので、まずはどの方向にどれくらいの力を入れたらよいのかを他動的に入力することからはじめるんです。
それに体が慣れてきたら、少し患者さんにも力を入れてもらって自動介助運動。
さらにそれにも慣れてきたら、完全に自動運動、さらに抵抗運動というように少しずつ負荷を上げていきます。
抵抗運動の際には等尺性収縮→求心性収縮→遠心性収縮の順番で筋肉の収縮様式の特性を踏まえてさらに細かく順番を意識します。
当たり前ではあるんですが、このように負荷の調整や筋肉の収縮様式をしっかりと意識した順番で運動療法を行うことで負荷が高い運動を行う時の基礎作りが出来るんです。
そして、この多裂筋の再教育は患者さんのみで行うことはほぼ出来ないぐらい難しい繊細なものなんです。
なので、ほとんどが徒手で行っています。
ということは、ここから先のコアトレを行っていくには徒手で行うこの多裂筋再教育の精度が治療成績の鍵になります。
緩めるだけでなく、引き締めることも治療家の技術に必要な要素ですね!
【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように
P.S
僕は体格が小さすぎず、大きすぎずだったので組体操はちょうど真ん中ぐらいの段の担当でした(笑)。一番楽なポジション!