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腰痛からスムーズに復帰した野球少年 | 日本オランダ徒手療法協会

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腰痛からスムーズに復帰した野球少年

2019.01.29

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

最近なかなかトレーニングが出来ずにいる黒田です(苦笑)

おかげで、腰はパンパンに張っています(汗)

 

今日は僕が住んでいる長崎のことを。

長崎は日本の最西端に位置している九州の1県なのですが、特徴的なのは離島がたくさんあるということですね。五島列島や壱岐、対馬などと呼ばれる島が有名です。

 

いろんな名産もあって、カステラ、トルコライス、ちゃんぽん、皿うどんなど美味しいものばかりです。あと、眼鏡橋や大浦天主堂、グラバー園など観光地もたくさんあっていつも観光客で賑わっています。

 

西の果てで都会と比べるとかなりの田舎なのですが、結構いいところでしょ?そして、長崎の人はとても優しいんですね。特に長崎のおばちゃんは聞かれてもいないのに困っている観光客や修学旅行生にこちらから声をかけて道を教えてあげるんですね。是非一度皆さんにも来て欲しいですね!

 

そして、ここ1〜2年盛り上がっているものがもう1つあります。それはサッカー!

僕はあまりサッカーは見たりしないんですけどね…(苦笑)

 

V・ファーレン長崎!去年はJ1だったんですけど、今季は残念ながらJ2です(涙)

このチームの名前を聞いてもピンと来ない人もいるかもしれませんね。

 

ただ、これは知らない人はいないんじゃないですかね?

 

「金利手数料はジャパネットが負担しーーーます!!!」

 

そうジャパネット高田の前社長、高田明さん。

もはや全国ネットの有名人ですよね。

 

この高田社長が今のV・ファーレン長崎の社長なんですよね。

今季は1年でのJ1(高田社長曰くゼイワン笑)に復帰することを目標にチームは既に始動しているようです。

 

今季は1回でいいからサッカー見に行ってみようかなー!

 

スポーツの話になったのでサッカーではないのですが、僕のメルマガでは珍しいスポーツ選手を診たときの話をさせて下さい。

 

珍しかった少年の腰痛

クリニック勤めの時はほとんどが高齢者や若くても40~50代ぐらいの患者さんを診ていたので、若い患者さんは珍しいなぁと思ったのを今でも覚えています。

 

この少年は野球をしていました。でも、医師の診察でヘルニアと言われてもう野球は出来ないんじゃないかとかなり落ち込んだ状態でリハビリに来たんですね。

 

この少年はこんな症状でした。

 

・左側の腰痛

・痛みは下位腰椎に限局(ピンポイント)

・ズキっとするような鋭い痛み

・腰を曲げると痛い

・足のしびれなどはない

 

いつものように腰痛のトリアージ(腰痛を3つのグループに分類する事)をしました。まずは治療対象外のレッドフラッグと呼ばれる危険な腰痛の鑑別。

これくらいの年齢の男子で注意しないといけないレッドフラッグは腰椎分離症です。

 

整形外科のテキストにも載っていますが、10代の男子で腰の伸展や回旋動作を反復するようなスポーツをしている選手に多いようです。

 

この子も野球をしているので、回旋動作を反復しますが、屈曲で痛みが強いという点ではちょっとつじつまが合わない。実際にレントゲンでは分離症はなかったので、ひとまずレッドフラッグではないことが分かりました。

 

次に一側下肢の痛みが特徴的な神経根症状か姿勢/動作と痛みが関連するメカニカルペインを鑑別しますが、下肢症状はなかったのでメカニカルペインに分類しました。

 

腰を曲げると痛いのは伸張されるような組織が何かトラブルを起こしている事が考えられます。なので、筋膜や筋肉が痛みを出している組織だと考える事ができます。

 

また、限局的でズキっというような痛みの時には組織損傷が起こっている可能性があります。安静時痛はなかったので、大きな損傷ではないものの多少の損傷がある事が予測されました。

 

この少年の腰痛は急性だったので、特別な治療はせずに日常生活や学校生活を送るように指導しました。すると痛みはすぐに落ち着いていきました。

 

ちゃん、ちゃん、めでたしめでたし…

 

って終わるわけないですよ(笑)

 

痛みは落ち着いても、この少年には大事な目標があります。

それは、野球に復帰する事。

 

痛みは取れても、競技に復帰すると再発するケース。皆さんも多く経験していませんか?

 

実はこの少年かなりスムーズに競技復帰できたんですね。それにはこんな理由が隠されていたんです…

 

キーポイントは監督の考え方

スポーツ選手の故障の原因はほとんどがオーバーユースです。要するに練習のしすぎという事ですよね。

 

それは皆さんも理解していることだと思います。

そして、どのような練習が原因になっているのかということもだいたいのあたりはついているのではないでしょうか?

 

この少年もそうでした。ちょうど腰に痛みが出たのは夏休みに入って約2週間後。中学1年生で入学後の練習は小学生の頃よりも多くなっていたはずです。さらに夏休みに入ってからはなおさらですね。

 

また、再発してしまう原因も同じですね。痛めた組織が十分に強くならないまま以前と同じような練習をすれば当然再発します。

 

いずれにしてもその選手それぞれがもっている組織の強さに合わせた練習量を調整しないといけません。

 

ただ、それがなかなか出来ないんですよね。そこにはある理由があります。

 

ある理由とは、「監督の考え方」なんですね。今のご時世?と思われる人もいるかもしれませんが、まだまだスポーツ界には精神論的な考え方が根強く残っています。

 

お前は気合が足りないから、いつまでも治らないんだー!というのはちょっと極端かもしれませんが、そのような考え方を持つ指導者はまだまだ多いと思います。

 

気合いで治るなら治療家はいらん!と思うんですけどね(苦笑)

 

やっぱりこのような理由で段階的な練習量の調整がなかなか出来ない!

 

ただ、これ幸いこの少年が所属する野球チームの監督さんはかなり理解がありました。きちんと治るように練習も休んでいいし、全体練習に戻っても個人練習などもやっていいとの許可を得ることができました。

 

だから、この少年はスムーズに競技復帰できたんですね。

 

でも、このような監督さんじゃなかったらあなたはどうしますか?諦めてまた選手を再発させてしまいますか?

 

このような時に必要なことは「プレゼンテーション」です。

 

なぜ練習量を減らす必要があるのか?、なぜ段階的な練習量アップが必要なのか?などの理由をきちんと説明できれば監督も納得してくれるはずです。

 

・今どのような状態なのか?

・痛めた、もしくは再発した原因は?

・何故、治っていないのか?

・どれくらいの期間で治るのか?(←これかなり大事!)

・治るために何が必要なのか?

 

特に選手の故障で戦力が低下しているはずなので、どれくらいで復帰できるのかをきちんと説明できるとより説得力が増しますよね!

 

今回は今までのメルマガとはちょっと違ったテイストでスポーツ選手の腰痛を取り上げてみました。

 

ですが、スポーツ選手でも一般の患者さんでもプレゼンテーションは非常に大事です。特にどれくらいで治るのかはどの選手も患者さんも知りたいことですよね。

 

見通しが立つとそれだけでもちょっと治ったような気持ちになりますからね。このようにして選手や患者さんが知りたい情報をきちんと伝えられるとより結果が出たり、信頼される治療家になると思います!

 

プレゼンテーション、是非皆さんも意識して取り組んでみてくださいね!

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S.

実は長崎、オランダとも結構ゆかりがあるんですよ。オランダ村やオランダ坂…

オランダ徒手も早く長崎に広まったらいいのになぁ、なんて思ってます!

 


この記事を書いた人

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黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。