痛みばかり考える腰痛患者…その対応法は? | 日本オランダ徒手療法協会

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痛みばかり考える腰痛患者…その対応法は?

2019.09.22

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

「あー、もうこんな時間か…」

 

休みの日にふと出てしまう一言(苦笑)

 

午前中に娘と外出し、昼ご飯を食べて、寝てしまった娘を抱っこして帰宅。

 

娘はそのまま2時間お昼寝。

 

そのお昼寝中の2時間が僕にとっての至福の時間。

 

ゆっくり読書をしたり、youtubeでくだらない動画を見たり、ビジネス動画で勉強したり…。

 

普段なかなか時間が取れずに出来ないことをします。

 

自分にとって楽しい時間なので、時間が経つのもあっという間です。

 

お昼寝から娘が起きてきて時計を見ると、もう17時過ぎ(汗)

 

そうこうしていると妻も仕事から帰ってきて、僕の休日は終わります(笑)

 

特に楽しいことって時間が経つのがとても早いですよね!

 

多分夢中になっているから時間を忘れてしまうんでしょう。

 

あなたもそんな経験ありませんか?

 

「一つのことに集中」

 

一見良さそうなことですよね?

 

でも、【痛み】には集中してはいけないんです。

 

特に慢性痛は!

 

慢性化の原因は様々ですが、「過度に痛みに意識が向くこと」も一つの原因です。

 

そのような患者さんはとても多いのですが、あなたはどのように対処していますか?

 

今回はその対応例についてお話ししようと思います。

 

ゼロにならない腰痛

 

50代女性で専業主婦の腰痛です。

 

いつものように問診から行います。

 

得られた情報としては、

 

・部位は下位腰椎のあたりで全体的な痛み

・押すと気持ちいい。圧痛なし

・前屈は痛みはないが硬い感じで、どちらかというと後屈が痛い

・しびれはなく、足の筋力低下、感覚は正常

・キッチンで1時間ぐらい立っていると痛みを感じる

 

注目すべきは「痛みが全体的である」ということと「1時間ぐらい立っていると痛みを感じる」ということです。

 

この2つの情報から僕は「不安定性腰痛」だと仮説立てしました。

 

長時間同じ姿勢をとっていると、腰椎にはさまれている椎間板は常に圧迫されています。

 

なので、椎間板内の循環が悪くなり、水分が抜けて椎間板の厚みが減ってしまうんです。

 

すると、上下の腰椎を結んでいる靭帯が緩んで腰部が不安定になる。

 

これが不安定性腰痛のメカニズムです。

 

なので、この患者さんには次のようなアプローチを行いました。

 

・椎間板を厚くするための腰痛体操指導

・多裂筋をはじめとしたインナーマッスルの再教育

・緊張した脊柱起立筋のリリース

 

これらの治療を重ねるうちに約2ヶ月で痛みがかなり減りました!

 

初回の痛みを7/10としたら、2ヶ月後には3/10ぐらいになりました。

 

ですが、残りの3がなかなか取りきれない(涙)

 

この患者さんにはある癖がありました。

 

それは、キッチンで料理をしているときについ時計を見てしまう(汗)

 

時計を見てもう少しで1時間になるなぁと確認すると、もうすぐ痛みが出てくるんじゃないかと痛みに意識が向いてしまっていたんです。

 

なので、残りの3の痛みが減らなかった。

 

そこで、僕は痛みに意識が向かないようにこんなことをやってみたんです。

 

姿勢に意識を向けて!

 

実は僕、数年前ピラティスのパーソナルレッスンを受けていたんです。

 

ピラティスはコアを適度に固めたりするので腰痛にも効果的です。

 

ですが、今回は機能的に効果があるからではなく、ピラティスのある特徴を生かしたんです。

 

それは、「自分のカラダに意識を向ける」

 

ピラティスは自分のカラダがどのように動いているのかをとても意識します。

 

ちょっとした収縮感や姿勢の違いをインストラクターさんにガイドされながらも、自分で意識して探していく。

 

なので、ピラティスをしているときには「今日の晩ご飯何食べようかなぁ〜」みたいなことは考えられないんです(苦笑)

 

僕はこれを利用しました。

 

患者さんが痛みではなく姿勢に意識が向くように指導をしたんです。

 

立位時に骨盤が前方に移動して下位腰椎が伸展してしまう、俗に言うスエーバックのような姿勢になっていました。

 

なので、しっかりと骨盤を後ろに引いて、さらにドローインしてお腹を固めることを指導しました。

 

もちろん筋機能を高めることにもなるのですが、それよりも適切な姿勢に意識を向けることで痛みへの意識をそらす!これが最大の目的です。

 

このような姿勢指導をおこなってからは、完全に痛みに意識が向かなくなったわけではありませんが、痛みを自覚することはかなり減ったようでした!

 

、、、
 

 

慢性痛の患者さんは身体的なアプローチ、心理的なアプローチに加えて、今回のような認知面へのアプローチが必要です。

 

僕自身も理論的にはわかっているものの、実際に臨床でどのように応用したらよいか悩んでいました。

 

ですが、自分がピラティスを行なっていた頃のことを思い出して、応用してみたんです。

 

他にもマインドフルネスと呼ばれる瞑想も効果的だそうです。

 

色々と試しながら患者さんに合ったアプローチを選択して下さいね!

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S

最近の休みはこのパターンが多いので、次の休みはちょっと行動パターン変えてみようと思います。娘と一緒に昼寝でもするかな(笑)


この記事を書いた人

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黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。