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“水分の有無”が組織損傷の証拠?!〜早期復帰への可能性を探るポイント〜from 土屋潤二
2018.05.11by 土屋潤二
打合せを終え、品川にある取引会社のオフィスをでる。
時刻は21時30分をすぎていた。
オフィスがあるそのビルは、品川駅に直結している。
その品川駅は
JR東日本によると「駅別1日平均乗車人数ランキング:5位」だそうだ。
閑散としたビル内から外に出ると
駅改札に向かう人がすごい。
一方向に、そして競争しているかのように先を急ぐ人が多い。
人、ひと、ヒト…
判断決断するために情報を集めろ!
さて、この人の流れがどれぐらいスゴイのか、どうすれば見極められるだろうか?
人混みの中にいては
どれだけ混雑がすごいのかは自分の目が届く極ちかくの状況しかわからないであろう。
だが幸い、
品川駅は改札に向かう人の流れを見られるポイントとして
階上にあるスタバとボトルコーヒーカフェがある。
そこに行って上から眺めると、
人の群れの中から外れて「頭上」から人を見られる!!
物事を他の視点からみられることで、
それまで見えなかったことがあぶり出されることはよくあることであろう。
それを知っている賢者は、
確固たる確信が持てないケースでは決断を先延ばしにしたり、リスク回避のために他の情報を見つけ出す。
ブルーボトルコーヒー品川カフェ (トリップアドバイザー提供)
医療現場では情報は十分か?
スポーツ医療の現場では、
受傷したときに真っ先に知りたいことは
「できる」「できない」の判断であることは誰もが認めるところだろう。
損傷しているであろう体内のことは直接見えないので、
見えない組織の状態をどう判断したら良いのだろうか?
ダメージある組織の重症度の判断
治療家は必要であれば治療テクニックを選択し
- 引っ張ったり
- 押したり
- ずらしたり
- …
など直接、局所を動かす刺激で効果を狙う。
そしてその徒手的なテクニックは数多くある。
たとえばストレッチや関節モビライゼーション、筋膜リリース…
その際に特に気をつけたいことがある。
それは
組織そのものに損傷が「あるか?」「ないか?」です。
ですが、われわれ治療家は明らかに内出血していたり
ちょっと動かしただけで痛みが出現したり
そもそも強い炎症の反応がでていたり
…していれば、
まず組織の損傷(=破壊)はあるということが予想できます。
判断が難しいのが「軽度」の時です。
ハムストリングの軽度な肉離れなどよい例かも知れません。
見た目は炎症もなく、
かなりの動作強度にするまで、日常動作ぐらいでの痛みもありません。
どうやって判断しましょう?
組織損傷を本当に知りたければ「MRI検査」
わたしがしていることは
医師にMRI検査で
組織損傷の証拠としての「水分」が移っているかどうかを見極めてもらいます。
MRI画像では
骨折ではないが、骨の内部が軽く損傷しているようなケースでも
「水分」を見つけてくれます。
反対に「水分」がないけれど痛みがある場合には、
- 「水分がない」:ダメージある組織に損傷/破壊はない
- 痛み:痛覚の閾値が下がり、痛みに対して敏感になっている。もしくは、他の周りの組織と癒着などをしている
…ということで、かなり痛みを伴う積極的な徒手的アプローチをしても問題ないと考え、
徒手療法のテクニックを選んでいく。
復帰への注意としては、
「強度的なストレス」と「量的なストレス」をコントロールしたり考慮できればさほど難しいことではない。
この件に関してまたの機会に…
時には「やらない」という選択肢
いずれにしても「結果」にこだわるということは
結果を左右するテクニックの巧みさだけではなく
時には「やらない」という選択肢があるということだけは覚えておいてください。
評価されるのはあなたで
評価される「結果」を成果として提供できる確信がなければ専門家に任せるべきである。
こういった「結果がすべて」「患者さんファースト」…などとどんな貢献ができるかと考えたとき
「治せる」といった傲慢さや
お客さんを離したくないと囲い込むことは辞めたいものである。
その無知による処置により酷くしたり、
最悪、重篤な疾病を見逃して死に至らしめないと誰が言えようか?
PS.
膝の不安定性を
どうするべきかと
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