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驚異的な速さで治った腰痛。その理由は…? | 日本オランダ徒手療法協会

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驚異的な速さで治った腰痛。その理由は…?

2018.12.18

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

12月なのにあまり寒くないので、なかなか衣替え出来ない黒田です(苦笑)

 

今回は僕がオランダ徒手に入る前の話。

僕は今PTになって9年目なんですね。オランダ徒手に入ったのは7年目の時だったからもう2年半はオランダ徒手をやっていることに。

 

時が経つのは早いな〜、そして年取るのも早いな〜苦笑、どんどん老け込むな〜(笑)

 

冗談はさておき、PT1〜4年目まではかなり勉強会に行ってました。長崎ではあまりないから福岡に行くことが多かったです。

勉強会って10時から16時までが多いパターンなんで長崎を6時台のバスに乗って、帰りは福岡を19時に出て帰ってきてましたね。

日曜日にあるので、翌日の月曜日は身体は疲れてるんだけど、やる気には満ち溢れている!みたいな不思議な気分でしたね(笑)

 

なぜ勉強会に行くかというと、専門学校卒業しただけの知識じゃ臨床はやっていけないんですよね。だから、少しでも早く患者さんを良くしたい!そんな気持ちで勉強会に行くんですね。

 

ただ…勉強会に数多く行くようになると、こんなことが起こるんです。

 

勉強会に行くこと自体が楽しくなる。本当は患者さんを良くすることが目的なのに勉強会に行って新しい知識に触れることが目的に変わってしまうんです。

 

僕は比較的周りのPTよりも勉強会に行っていたんですね。そうするとやっぱり勉強している人って周りから一目置かれた存在になりますよね。周りからそういう見られ方をするといい気分ですしね(苦笑)

 

でも、これって全く勉強会に行く意味がないですよね。あっ、意味がないっていうのは言い過ぎかな(汗)

手段が目的に変わってるんですよねー。人間って本当にしっかりと目的を意識していないとどうしてもダラけたり、向かう方向が違ってくるんです。

 

今回はこんな過去の僕とは違って、本当に自分の目的を見失わずに治療を続けられたある患者さんのことを紹介します。

 

酷い仙腸関節の関連痛

以前担当をしていた女性の患者さん。担当していたのはもう一年ぐらい前なんですけど、詳細に覚えているぐらい僕にとって忘れられない患者さんの1人です。

 

50代の女性で看護師の方でした。はじめて来院した時には下肢痛が強くて座れない状態でした。痛みが出始めたのは2〜3日前からで明らかなきっかけはなし。徐々に痛みが増してきて来院時にはかなりの強さになっていました。

 

当然いつものように問診を行い、腰痛のトリアージや経過からみる分類を行います。(腰痛のトリアージや経過からみる分類は過去のメルマガに登場していますので、是非そちらもご覧下さい!)

痛みは左の大腿部〜下腿部にかけての外側や後ろ側。特に圧痛はなし。痛みは強いが、明らかにピンポイントで痛むわけではない。特に座位での痛みが強くまともには座れない状態。

 

これらの情報から僕は下位腰椎か仙腸関節の関連痛ではないかと仮説を立てました。痛みの性質や範囲、それに実は既往歴に左の下腿部の骨折があったんですよね。これはちょっと神経的な繋がりからの考察なんですが、これも今回は触れません(苦笑)がいつか紹介しますね!

 

立てた仮説をもとに、以下のような治療方針を考えました。

 

・仙腸関節のアライメントを整えるためのモビライゼーション

・関連痛が生じている領域の筋や軟部組織のリリース/ストレッチ

・不安定な仙腸関節を安定させる多裂筋トレーニング

・軟骨を厚くするための骨盤周囲の運動

・仕事量や内容を調整し、負荷量を減らす

 

初期はこのような方針で治療をやっていこう考え、それを患者さんとも共有しました。患者さんの職場と僕のクリニックは近くだったので週3回ほど通院してもらいました。

 

するとですね、どんどん良くなっていくわけです!ビックリするぐらいに!!

 

僕も徒手療法は頑張りましたが、それ以上にホームワークや生活指導をキッチリやってくれる。これだけやってくれたらこっちは楽だなぁ(笑)と心の中で思ったり、思わなかったり(苦笑)

 

約1ヶ月ぐらいで痛みはほとんどなくなってしまいました。初めの頃は痛みで険しい表情だったのですが、痛みが薄れていくにつれて笑顔がみられて、日常でのことを僕に話してくれるぐらいに余裕が出てきました。

 

余裕がみられていたので、僕は内心思っていた事を尋ねてみたんです。

 

どうしてそんなに頑張れるんですか?

真面目にキッチリとやってくれる理由は何なんだろうと。

 

すると、その患者さんはこう答えました。

 

「5月に千葉にいる息子に会いにいくんです。」(通院し始めたのは2月)

 

「だから、飛行機やバスで長く座っていられないといけなんです。」

 

僕はその患者さんに聞いていなかったんですけど、実は内に秘めた明らかな目標があったんですね。

 

だからかぁー、こんなに頑張れる理由は!と納得したと同時に反省もしました。

 

なぜなら、この患者さんは偶然にもしっかりとした目標があったんですけど、ほとんどの人はそんな目標なんてない!もしくは自覚をしていないですよね。

多くは痛みを取りたい!っていうのが目標で病院に来ているんじゃないかなぁと思います。

 

治療家は本当はどの患者さんに対しても目標を持ってもらえるように会話から「本当のニーズ」を引き出さないといけないのです。

 

なぜ、引き出さないといけないのか?

 

それは目標を持っている人はそれで良いのですが、目標がないという人は、決してないわけではなく気づいていないんですね。

 

このように自分ですらも気づいていない無意識の目標などのことを「潜在ニーズ」といいます。

逆に「痛みを取りたい」などの意識している目標は「顕在ニーズ」と言います。

 

「潜在ニーズ」を掘り起こすには本人も気づいていないので様々な問いかけをしなければなりません。

 

例えば、

・趣味

・仕事

・家族関係

・将来のビジョン

 

など、患者さんとの会話の中で何が出来るようになるとその人の一番の幸せに繋がるのかを考えます。ただ、ここで注意することはこちら側が目標を設定するのではなくて、患者さん自身が自分で納得して目標を設定する事です。

 

自分で納得した目標だからこそ、しっかりとホームワークや生活指導したことに取り組んでもらえるのだと思います。そして具体的な目標にするとより患者さんのモチベーションも上がります!

 

「歩けるようになりたい」という漠然とした目標よりも

 

「友人と京都に旅行に行くために2時間以上はゆっくりでもいいから歩けるようになりたい!」という具体的な目標の方がそれを達成した時のワクワク感が伝わってきそうですよね!

 

ここまでくると患者さんは治療時間以外でもしっかりとホームワークや生活指導に取り組んでくれます。

 

これも治療家にとって必要な患者さんをマネジメントするためのスキルだと思います!

 

ここまで目標を設定することを考えたことがない方も多いかもしれませんが、是非患者さんと会話をしながら「潜在ニーズ」を見つけ出すことを意識してみてください!きっとあなたの地域で患者に選ばれる存在になると思いますよ!

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S.

オランダ徒手にきてからほとんどセミナー行ってないな~(苦笑)でも、過去の自分があったからこそ、今の自分がありますからね!自分に降りかかる全ての事が必要な事なんだとおもいますね。

 

P.P.S.

ちょっとこの調子だと自己啓発でも出来そうな感じですね(笑)

 


この記事を書いた人

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黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。