その怪我、打撲じゃなくてコンパートメント症候群かもよ | 日本オランダ徒手療法協会

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その怪我、打撲じゃなくてコンパートメント症候群かもよ

2020.10.20

from 杉山貴規 都内スタバ

 

10月の行事といえば、運動会。

 

その運動会なのですが、このコロナの影響でかなり、縮小されている学校がほとんどで近隣の小学校なんかでも、一学年2種目っていうところも出ています。

 

しかも、応援は1家族一名で、2種目が終わったら、帰らないといけないというなんともいえない運動会になっています。

 

感染対策がやはりネックになっていて、今の国の基準で行うことは到底難しいという判断なのでしょうね。

 

しかし、周りを見てみるとプロ野球やJリーグといったところでは観客の制限はあるもののそれなりの人数を入れて行なっている。

 

しかも、その観客から新型コロナにかかったという情報も出ていない。

 

もう少し、学校側もやりようがあるのではと思ってしまいがちなんですが、

 

学校の場合一人でも出た時に、かなり批判が保護者や近隣住民から出そうですよね。

 

難しい舵取りの中、学校側も生徒と一生懸命に特別な運動会を迎えるわけで、小学生やその保護者には物足りない運動会にはなりそうですが、かなり想い出深い運動会の1ページになりそうです。

 

さて、その運動会。

 

毎年、何かしら怪我をする児童がグンッと増える時期でもあるんですが、そんな時この怪我が一体なんなのか?

 

ということで悩む保護者や先生も多いはず。

 

捻挫?骨折?打撲?

 

応急処置はどうすればいいのか?

 

ってなことを悩むことがあるはずです。

 

そんな時に重要なのが評価なんですよね。

 

評価する時って、いきなりこれは打撲です!って言える時もあれば、骨折なのか?捻挫なのか?と迷う時があります。

 

しかし、頭の中でいくら評価方法を知っていたとしても、それに当てはまらない時が多く存在します。

 

自分も現場のトレーナーをしていても、そういう時があります。

そういう時は、トリアージを行います。

自分の中のトリアージ(怪我に限定)

①自分で動けて歩ける程度

②人の手を借りるか、松葉杖で歩ける程度

③意識はあるけど自分では歩けない程度

 

こういう風に分けます。

 

この分け方で、救急車を呼ぶか、様子を見て病院に行ってもらう、病院ほどではないが様子を見る

 

っていう分け方をして、その時の判断をします。

 

これはとても重要で、わからない時は自分の判断で

 

これは骨折です!

これは捻挫です!

これは打撲です!

 

と言わないほうがいいです。

 

こういう時は、病院に行ってもらうことを最終的に勧めて、現状の状態でどこに見てもらうかを判断したほうがいいと思います。

 

このように、怪我の度合いを判断できない時は無理に決めつけで行うと逆に悪化することがあるので、注意してください。

 

で今回は、下腿の怪我の患者さんで施術を断った事例を紹介したいと思います。

 

下腿前方に青あざ

 

患者さん(患)「すぎさん、ちょっといいですか?」「もう、1ヶ月ぐらいになるんですけど、この青あざ治らなくて、すごく浮腫むんです」

 

診ると、

 

下腿の前方に青あざがあって、下腿がパンパンになっているんだよね。

 

杉山(杉)「どうしたんですか?」

 

と聞くと

 

(患)「実は、先週サッカーをやっていて、その時相手のスパイクがここに入ったんです。それで、一向にこの状態が治らなくて、痛みはほとんどないんですが、浮腫とドクドクする感じがずっと続いているんです。」

 

相手のスパイクが入ってこの状態って、考えられるのはだいたい数個

 

・打撲

・骨折

・筋肉損傷

・骨挫傷

・コンパートメント症候群

 

ってな感じの疾患名が浮かんでくるんだよね。

 

で、病院の受診をしたかどうかを聞くと、受診はしたんらしいんだ。

 

しかし、そこでは様子を見ましょう程度で、レントゲンをとったり、MRIを取るような処置をしてくれなかったらしいんだ。

 

本人も、その対応にちょっと不信感を持って、すぐに病院から出って行ったらしいんだ。

 

それから、1ヶ月

 

症状が緩和してこないんって言うんだ。

 

問診をすると

・痛みはない

・浮腫がある

・ドクドク脈打つ感じが常にする

・感覚が鈍い感じ

・運動をした後にかなり浮腫と脈打つ感じがする

 

って言うんだよね。

 

本人も痛みもないし、日常生活は送れているって言うんだけど、

やはりそこはスポーツマンかなり、現状の症状が一向に治らないことに不安を感じていたんだよね。

 

この問診からある程度自分で仮説を立てたんだよね。

 

気になるワードは

 

次の3つ

・痛みがない

・浮腫む

・ドクドク脈打つ感じ

 

このワードから除外されるのは次の疾患

・打撲

・骨折

・筋損傷

 

なぜか?

受傷時にかなりの痛みと腫れが生じるということ。

痛みで歩くことが難しいこと

しかし、この痛みや日常生活動作は怪我をした時から全然大丈夫だったっていうんだ。

 

となると違うところになるんだよね。

 

病院に行きましょう!

 

自分がここでこの患者さんに言ったのは、

 

杉)「病院にいたほうがいいです!受診してMRIを撮って骨の中身を見たほうがいいと思います。」

 

杉)「おそらくですけど最悪、コンパートメント症候群の可能性があります。」

 

すると本人から

患)「やっぱり、それですか。自分もネットで探して、今の症状に似てるって。。。」

 

先にも言ったんですが、

・痛みがない

・脈打つ感じ

・浮腫

 

これの痛みがないっていうのに、かなり引っかかりがあったんです。

 

通常腫れる場合っていうのは、組織が損傷して起こります。

 

もちろん、内科疾患でも起こることがあるんですが、その場合受傷する前から浮腫がないとおかしいんですよね。

 

しかし、今回は受傷してからこの症状が起きたと考え、それが1ヶ月以上も続いているっていうことは、これは見えないところが損傷しているって考えたんです。

 

それが『コンパートメント症候群』

 

コンパートメント症候群

下腿コンパートメント症候群とは、スポーツや交通事故などによる打撲、骨折、脱臼などをきっかけに、それによる出血などで下腿の組織内圧が上昇して、筋肉内細動脈の血行障害を引き起こし、筋腱神経組織が壊死に陥る障害です。いったん組織が壊死に陥ると、機能障害は永久的になるため初期の迅速な判断が重要です。全身では特に下腿に好発します。下腿は筋膜などで4つの小さい区域に区画(コンパートメント)されているため、内圧が上昇しやすいのです。

 

こうなってくると、自分では何もできませんよね。

 

だから、本人には病院に行ったほうがいいという提案をさせてもらったんです。

 

本人も、ここまでの問診でかなり整理できたらしく、すんなりと

患)「明日、すぐに病院に行きます!」

 

っていう判断をしてくれたんだよね。

このように、自分たち領域じゃないものを無理に囲って、なんでも治すっていう考えだとこういう方の怪我を悪化させることになるんだよね。

 

そういう時はすぐに、専門家に任せて、対応してもらうようにしたほうがいいです。

 

下腿の痛みは本当にリスクがあるので、このような知識を入れておくことも本当に重要ですよ。

 

PS

それにしても、今年の運動会は縮小されたことで、親が参加する種目は無くなったから例年のようなお父さんがリレーで大怪我なんていうのは無くなるんだろうな。

 

来年は一体どんな運動会が待っているのか?

 

今から少し不安と楽しみが入り混じった感じ(笑)


この記事を書いた人

杉山貴規

理学療法士。【JADMT公認】オランダ徒手療法士。整形外科、訪問リハを経験。10代のスポーツ選手の施術が得意。Jリーグ相模原U-18トレーナー担当。海外も含め、年間70回以上の試合帯同もこなす一児の父。