シンスプ?骨折?関連痛?苦戦した下腿の痛み | 日本オランダ徒手療法協会

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シンスプ?骨折?関連痛?苦戦した下腿の痛み

2020.08.03

from 杉山貴規 自宅デスク

 

なにこれ??

 

スパイクにピンがない!!

 

高校時代に陸上の短距離をやっていたんだけど、

その時こだわっていたのはスパイク。

 

軽量かつ地面を引っ掛かりが強いものを選んでいたんだよね。

 

なぜなら、そのほうが地面を捉えられて蹴ることができるから、どんどん加速していくんだよね。

 

当然周りの選手もそういう視点でスパイクを選んでいたと思う。

 

実際、ランニングシューズとスパイクとではスピードは雲底の差。

 

しかし、今回出てきたスパイクはそんな固定観念を根底から覆すスパイクだったんだよね。

 

そんなんで、早く走れるのか?

 

トップアスリートが好んで履いてくれるのかはなはだ疑問なんだよね。

 

そんな疑問系が繰り返すほどの、異質なスパイクを開発したのが

 

日本のスポーツメーカーの雄

 

『アシックス社』

 

そのコンセプトは

 

スパイクピンがトラックに刺さって抜ける時間を短縮し、エネルギーロスを減らしすことに注視したもの。

 

すごいところに目をつけたなって感じ、

 

引っ掛かりがあったほうが、地面を蹴る力が強くなって、そのぶん早くなるはずなんだけど、そのピンが地面に刺さって、抜ける時間がロスだっていう発想は誰も持たなかったのでは?

 

でもなんとなく思ったのが、F1なんかで使用されるタイヤに近いイメージなのかって感じ。

 

ピンだと、一部分しか引っ掛かりがないけど、全体的に地面との圧着面積を大きくすることで引っ掛かりをかけて地面を蹴る感じみたいなんだよね。

 

だから、ピンがなくても早く走ることができるみたいなんだ。

 

詳しい情報はここを見てください。

https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/trackfield/metasprint

 

さて、陸上スパイクの話はこの辺にしておいて

 

今日は自分が苦戦した下腿の痛みについて話そうかなって思う。

 

この痛み、すぐになんとかなるって思ったんだよね。

 

それは、痛みの部位が脛骨の内側から脹脛の内側かけて痛みがあったんだよね。

 

関連痛?

コンパートメント症候群?

疲労骨折?

シンスプリント?

肉離れ?

 

こんな感じ予想を立てて診て行ったんだけど、、、

 

これが、ま〜大変だったんだ。

 

痛みの本質は一体なんなんだ?

 

「すぎさん、なんかここらへんが痛くて」

「ジョグしても数歩で痛みが出ちゃうんですよ」

「家で、この1週間ずっと冷やしていたです」

 

どれどれって感じで、見てみると

 

発赤や熱感は全くない感じ、

 

(組織の損傷はないのか?)

 

問診をすると

・3週間前から痛くなって、徐々に痛みが強くなってきた

 

・単なる筋肉痛だろうって思っていた

・歩くと痛い

・走っても痛い

・痛みのある場所が自分でも把握できない

 

こんな問診から、

きっとこれって『関連痛』だろうって疑ったんだよね。

 

なぜなら、組織損傷に出る炎症症状が全くなかったんだ。

本人にも確認とったんだけど、

3週間前も、痛みが出たり、腫れ上がったり、赤くなったりっていう症状が出ていなかったから。

 

こんな話を聞いて、関連痛って疑ったんだよね。

 

で、腰の周りを確認すると下腿の神経支配領域L3〜S2までの分布を指で圧をかけていくと、かなりの痛みを有したんだ。

 

皮膚を引っ張り上げると同様の痛みを生じたんだ。

しかも、脊柱を中心して左右で痛みのある側の方が痛みを強く感じたんだ。

 

もうこれは、『関連痛』だと踏んだんだよね。

 

そこで、L3〜S2のマニュピレーションを実施

 

大概これで、下腿の痛みは除去可能

 

しかし、今回はなぜか、上手くいかなかったんだ。

 

選手から 

「あまり変わらないというか、違和感が強く残ってます」

 

(え〜〜〜〜〜!!!)

 

なんでだ?

 

これはもしかして、レッドフラッグか?

 

脛骨骨折?

コンパートメント症候群?

骨挫傷?

 

レッドフラッグ??

 

とりあえず、このレッドフラッグかどうかの可能性を探らないといけない。

 

炎症症状が伴うものは

骨折・骨挫傷

 

炎症症状が見られないもの

コンパートメント症候群

 

では、やはりコンパートメント症候群の可能性が高い。

 

それで、選手に対して、この痛みの状態を話すことに決めたんだよね。

本人は軽い感じの怪我だと考えていた見ただから、この聞き覚えのないこの疾患名に少し驚いた感じ、

 

しかし、今後のことを考えるとこのレッドフラッグの有無は取り除く必要がある。

 

で、本人と話し合って一度専門機関で画像診断をしてもらうことにしたんだ。

 

それから1週間後

 

結果が出て、『異常なし』

 

骨にも、筋肉にも、なんの異常もなく。

コンパートメント症候群の『コ』の字も出ない状態。

 

ドクターからは

”オーバーワークでシンスプリントかなんかになってるじゃないか“

って判断だったんだけど。

 

はっきりと診断名は出なかったんだ。

 

まー、レッドフラッグは回避できたわけで、こちらで対応できるものっていうことが分かっただけでも前進したんだけど、、、

 

(じゃ〜一体何が問題?)

(う〜ん)

 

評価順番を変えて可能性を探る

 

問診から始めることは変えないんだけど、施術をやめてみたんだよね。

つまりどうしたか?

 

ま〜大雑把に書くと

通常は下の感じで行なっていくんだけど

 

問診からの情報→仮説→施術→アスリハ→復帰

 

これを施術とアスリハの順番を変えてみたんだよね。

 

なんでこうしたのか?

 

それは、問診だけで得られなかった情報をより具体的に本人から引き出すことと、実際にやった種目で何が起こるのかをみる必要があったから。

 

この時自分がみる目線は理学療法士のような動作分析をする目線ではなく。

 

単に様々な動作をどのくらいの時間やったら下腿に痛みや違和感が出るのか?

 

これに絞ったんだよね。

 

自分は理学療法士だから、ついでに動作分析をして、どこにメカニカルストレスがかかっているのかを見ればいいんだけど

 

それは情報を得る時に、変なバイアスがかかるから

 

もう、負荷と強度をみることにしたんだよね。

 

この時自分はまだ、『関連痛』の可能性は捨ててなかったんだ。

 

やっぱり仮説は当たっていた

 

アスリハからやることである面白いことが分かったんだ。

 

ま〜通常強度の弱いものから始めるよね。

その時もそういう感じで、始めようとしたんだよね。

つまり、歩幅の狭い・スピードの遅い歩行やジョギングをね。

 

しかし、ドクターから画像所見と診断では骨・筋肉にも何にも問題なし。

 

それと自分の見立てから、これは逆にあげてみようって思ったんだ。

 

これは、アスリハを行う時のセオリーから外れることなんだよね。

っていうか、やっちゃいけない。

 

でも、ある仮説があったんだ。

 

それは

『好循環を生み、遠位からの末梢神経を刺激することで関連痛がなくなるかもしれない』って

 

で、実際にスプリントからはじめてみたんだ。

 

すると最初は違和感を感じながら走っていた選手が、後半はかなり飛ばしながら走るようになっていたんだ。

 

実際、100mを50秒くらいで走っていたのが、10本目には15秒くらいで走っていたんだ。

 

選手「なんか、走っているうちどんどん痛みがなくなってきたんですよね」

選手「っていうか、早く走って汗をかいた方が楽です」

 

そのあと、その選手の下腿の症状を圧痛などは全くない。

 

しかし、脊柱L3〜S2の圧痛はそこまで変わらない感じ。

 

やっぱり、これは『関連痛』

 

それから、『関連痛』ということで今ではその選手のリハビリを行なっている最中。

 

今では、時々下腿の痛みは軽微に感じるものの。

 

脊柱を中心に施術し、リハビリを行うことで痛みの具合はどんどん良くなっている。

 

今回の選手の状態は、本当に難しい。

結果的に仮説は最初と同じだったが、自分を惑わせるような痛みの発言やレッドフラッグのしっかりとした除外をしてなかったために、ぶれる結果になってしまったんだよね。

 

つまり、何が言いたいか?

 

自分が疑問に思ったことに関してやリスクがあるときは

まずはそこを取り除く努力をするべき。

 

自分で見られないのなら、今回みたいに病院に行ってもらい画像所見や診断を仰ぐの一つの方法。

 

これは、選手のリスクから守るだけでなく、自分の仮説を立証するためにも重要なものなんだよね。

 

困ったときは、リハビリの大まかなプロトコルを少しいじってやってみるのもいいですよ。

 

でも、やるときはレッドフラッグを排除してから行うことオススメします。

 

P.S.

そうそう、この間テレビで陸上の100m決勝をやっていたんだけど、

そのとき、8人中4人がこのスパイクを履いていた。

 

しかも、桐生選手が履いていて、10秒04の好タイムで走っていたんだよね。

 

なんか自分も無駄に買って、試し走りしたい気持ち

 

でも、価格がとんでもなく高い(笑笑)

 


この記事を書いた人

杉山 貴規

杉山貴規

理学療法士。【JADMT公認】オランダ徒手療法士。整形外科、訪問リハを経験。10代のスポーツ選手の施術が得意。Jリーグ相模原U-18トレーナー担当。海外も含め、年間70回以上の試合帯同もこなす一児の父。