上腕骨骨折後の可動域を簡単にあげる方法 | 日本オランダ徒手療法協会    

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上腕骨骨折後の可動域を簡単にあげる方法

2020.05.08

from 杉山貴規 自宅デスク

 

「屋根より高いこいのぼ〜り〜♪」

 

こどもの日

 

子供日には、五月人形を飾るのが日本の習慣ですよね。

 

五月人形にもいろいろ種類があるみたいで、

 

・鎧兜バージョン

・カブトバージョン

・金太郎バージョン

 

などなど

 

それも、

巨大でセッティングするのに大変なやつ、

ガラスケースに入ってすぐに取り出せるやつ、

 

もう様々なんですが、うちの五月人形はま〜でかい。

 

大きさで言ったら、2〜3畳分

 

でかい虎と龍の漆塗りの屏風を飾って、カブトも大人が被れるサイズ、弓と矢のセット、長刀と短刀のセットなどなどもう豪華絢爛、極め付けは電飾の数々、炎を模したものまで。

 

だから、セッティングするのに、大人一人で40分ほどかかる。

 

しかし、このセッティングにも意味があるらしく、俺がセッティングしたのを見た俺の親父が、

 

「ここと、これ逆!」

「刀の置き方が違う!」

 

な〜んていうものだから、余計大変。

 

なんで、この位置が逆だとダメなのか?

なんで、こんな細かいことが重要なのか?

 

でも、このセッティングの意味を知ると納得するんだよね。

 

ま〜迷信や昔の習わしみたいなものなんだろうけど。。。

 

正月のおせちの食べ物の意味と似たような感じ。

 

だから、このセッティングでは必ず子供と一緒にやることにしている。

この位置はここで、意味を言いながらね。

 

ま〜そんなこと、真剣には聞いていないけど。。。

 

あまりこちらの話を聞いていないといえば、

患者さんに対する自主トレなんかもあると思う。

 

これこれをやっておいてくださいと懇切丁寧に説明したり、わかりやすい画像付きで、注意点を書いた用紙を渡しても、なかなか実行してくれないことなんてことも。。。

 

そうすると、やってくれても結局自己流で、結局成果が出ない

 

なんてことありませんか?

 

ありますよね。

 

今回話すのは、先日施設のスタッフが肩の可動域が思うように上がらなくて、見てくれないかって頼まれた方の話です。

 

肩がスムーズに上がらない

 

その方は、医者やリハビリの先生に自主トレを聞いてやってはいたらしんですが、

その内容を見ると、まー適当な感じ。

 

きっと、教えてもらった注意点やこだわって欲しいところはほとんど無視した自己流になっていたんです。

 

それじゃ〜って感じ。

 

で、自主トレでは今後回復しないだろうってことで、施術をすることになったんです。

 

話を最初から聞くと

 

数ヶ月前に自転車で走ってたところ自動車にはねられて右の上腕骨を骨折したんです。

その間ギプス固定で三角巾が処方されて、1ヶ月程度動かさない時期があったんです。

 

だから、肩をあげるときにスムーズに上がらないとともに、若干なり痛みを生じていたんです。

 

ここ最近になって、医者とリハビリスタッフから肩を動かすようにっていう指示のもと

肩の屈曲・伸展・45度程度外転方向の動きはやっていいとの指示があったんです。

 

でも、やっぱり苦しそうな感じの動作

 

本人には、ぜひ見てもらいたいって感じで、どんどんやって楽にして欲しいていう感じだんです。

 

もちろん、現状の話を聞くと局所的な問題だし、きっと、これとこれをやればすぐに可動域は上がるし、その後の練習ももっと質の高いものになるんだろうなって感触だったんです。

 

しかし、自分の手元にはその人の患者さんからの情報しかないんですよね。

 

確かに、本人の情報って重要な位置付けとして施術をしているんですが、

何が問題かというと骨折の状況です。

 

横骨折、縦骨折、螺旋骨折、ヒビなのか?

 

折れ方によっては、ねじれを促すようなことはしてはいけないとか?

マニュピレーションをやるにも刺激を入れることになった場合に修復していた部位の妨げになるとか?

 

こんなことも考えるんだよね。

 

また、

折れた場所も重要

 

上腕骨って様々な筋肉がついているじゃないですか。

胸の方からついていたり、肩甲骨の方かついていたり、背中の方からついていたりと

 

色々なところから上腕骨についていますよね。

 

だから、もしその筋肉の付着部が骨折部にかかっていたら、

その方向の運動療法は余計に骨折を助長してしまう。

 

もう、そんなところまで気になっちゃうんです。

 

だから、今回の方にはレントゲンの有無を聞いたんです。

 

すると

 

「あっ、ありますよ。」

「初めての骨折だったんで、思い出にとっておいたんスマフォに。」

 

それはそれは。

本当にありがたい。

 

これで、リスク管理もできて、的確な施術が可能。

 

しかも、受傷直後と2〜3日前に撮ったものあったもんだから、

 

骨癒合の状態も見れて、なお良い。

 

すると、折れていた部位は骨幹部と骨頭部で大きく骨折はしておらずヒビ程度。

現状はヒビもほとんど白くなっている。

 

これなら、ある程度の施術は可能かなって思ったんです。

 

患者さんとのコミュニケーション

 

受傷数ヶ月経っている状態、骨の癒合も良好でリハもできる状態。

じゃ〜これだったら、なんでもやっていい感じなんだけど、

 

その場に医者がいない。

 

医者によっては、別のところも見ていることがある。

 

それは神経の問題だ。

 

恐らく今回の場合は神経の損傷はないとは思うが、慎重なドクターは見ていることがある。

 

なぜなら、今回ヒビの入ったところに問題がある。

それは上腕骨の骨頭だってことと交通事故ってこと。

 

ヒビの入った近くに腕神経叢がすぐそばにある。

 

しかも、交通事故の外力によってその神経が圧迫がかかって押しつぶされたり、せん断力によって切れていたりってことも考えられるんだよね。

 

そうなってくると、スムーズに動かせない理由が長期の固定による不動だけではなく、末梢神経になんらかの問題がある場合がでてくるんだよね。

 

だから、そのためにある程度神経の評価をしたんだよね。

 

左右動作確認

感覚・触覚・冷覚・温覚・振動覚

神経のストレッチをしての痛みの感度(灼熱感の痛みや鋭い痛み)

 

などなど

 

でも、どれをやっても問題はなかったんだ。

 

ここまでやって、ようやく患者さんの同意をもらって施術開始なんだよね。

 

なんでここまでやるのか?

 

それは、医者という体を総合的に診て、分析し、レッドフラッグを見る人がいないからだ。

 

だからここまでしないと施術はしちゃいけない。

 

最小限のリハで最大の結果を

 

とは言っても、やはり不安はある。

 

だから、最初の施術では骨のことも考えて、皮膚・筋膜だけに特化した施術を行うことにしたんだよね。

 

施術したところの筋膜と皮膚を筋肉名で紹介すると

 

三角筋

広背筋

大胸筋

大円筋

大小菱形筋

 

など

ここの部位の筋膜・皮膚にアプローチ

 

すると、やった時間は10分程度かな。

 

120程度しか上がらなかった屈曲が180度まで改善

 

後ろに手を回せなかったのが、回せるようになったりと

 

本人も、大満足の結果だったんだよね。

 

本当はこのほかにも、マニュピレーションやモビライゼーションをやるべきなんだろうけど、

 

まずは、動かし易い環境を作ってあげること、

それができれば自然と可動域も上がるし、筋力もついてくるんだよね。

 

だから、無理に何でもかんでもやる必要ないんだよね。

 

最後に、

ドクターのいない一人職場や開業されている人は本当にレッドフラッグには注意したほうがいい。

 

良かれと思って、誰もが施術するわけなんだけど、レッドフラッグの確認をしないことで患者さんが不幸になるし、あなたのこれまでの信頼が一発でおじゃんになる。

 

こういうリスクを排除しながら、仕事をしないと大変なことになるんだ。

 

ってなわけで、初回の施術は最小限のリハで最大限の成果を上げることをお勧めします。

 

PS

昔は、飾ってあった剣を抜いてよく遊んでいて怒られたもんだけど、

息子はそんなもの触らず、

 

「すごいね〜」の一言

 

全く、もっと興味示せよって感じです。笑笑


この記事を書いた人

杉山 貴規

杉山貴規

理学療法士。【JADMT公認】オランダ徒手療法士。整形外科、訪問リハを経験。10代のスポーツ選手の施術が得意。Jリーグ相模原U-18トレーナー担当。海外も含め、年間70回以上の試合帯同もこなす一児の父。