日本オランダ徒手療法協会    

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痛み記憶が急性腰痛を慢性化させる⁉︎

2019.03.08

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

最近洋服の断捨離を敢行した黒田です(笑)

 

つい先日、地域の運動教室に行った時のこと。

 

だいたい2週間に1度の頻度ですが、1月2月はいつもより参加者が少なくなっていたんです。

 

1月はインフルエンザが大流行、2月はインフルエンザは多少落ち着きましたが、今度は花粉症。

 

くしゃみや鼻水が酷いからお休みします!っていう人もしばしば。僕をはじめとした運営スタッフの半分も花粉症に悩まされています。

 

そんな感じで参加者と談笑しながら、運動前の血圧測定をしていたんです。

 

すると

 

「ガタガタ!ガタガタ!ガタガタ!」

 

と窓が振動で揺れたんです。

 

地震です!!!それも震度3。

 

関東はそれぐらいでは驚かないと思いますが、長崎はほとんど地震なし県なので、揺れを体感する震度3は結構ひどい。

 

参加者もちょっとしたパニックを起こしました。血圧測定中の方は血圧や脈拍が急上昇しちゃったり(苦笑)

 

揺れを感じたのは1度だけでしたが。

 

そんな時、ある参加者が一言。

 

「こんな地震が起こったら、私はどこに逃げたらよかとかな?」

 

すると、別の参加者が

 

「ここは公民館だから、避難せんちゃよかとよ!、ここは丈夫に出来とるけん!」

 

その返しにみんなが納得したと同時に、笑いが生まれました。

 

緊張が走った公民館でしたが、1人の参加者のおかげでまた和やかな雰囲気になったんですね。

 

ただ、やっぱり人間パニックに陥ると、冷静に対処できなくなってしまうんですね。

 

これは腰痛治療でも同じで、特に急性腰痛なんかはパニックにならずに、冷静に対処するときちんと治るんですね。

 

これは僕の失敗談ですが、急性腰痛に対して適切な対処が出来なかった結果、慢性化してしまった患者さんがいました。

 

今回はそのことを皆さんとシェアしようと思います。

 

引っ越しの準備で…

ギックリ腰の原因第1位と言っていいほど多いのが引っ越しの準備または片付けですよね!(統計を取ったわけではないので、正確ではないですよ笑)

 

普段しないような事を急にすると、いつもよりも体に負担が加わるので筋肉痛になったりしますよね。

 

筋肉痛と全く同じというわけではないのですが、中腰の姿勢を長くしたり、重いものを持ち上げたりなど、普段しないような姿勢や動作を繰り返す事で発症する事が多いですよね。

 

ある50代の女性も同じでした。

 

自分の引っ越しではないのですが、娘さんの出産に合わせて引っ越しをするというので、その手伝いをしたみたんなんです。

 

娘さんはお腹が大きいからそんなに引っ越しの準備は出来ない。だから、その女性が頑張ってしたらしいんです。引っ越しの準備って結構大変でなかなか1日じゃ終わらないじゃないですか。

 

だから、3~4日続けて手伝いに行った。

 

引っ越し準備をしているときはそれに集中していたせいか、痛みを感じることはなかったみたいなんですが、準備が終わってひと段落した翌日の朝、起き上がれないくらい強い痛みが腰を襲ったそうです。

 

そんな状況だったんで、すぐに病院に来られたんですね。

 

医師の診察では問診と画像検査だけ行いました。無理しない様にということで、湿布と痛み止めが処方されました。

 

その後、リハビリのオーダーが出て僕のところに来たんですね。

 

まず腰痛患者が来た時に行うのが腰痛のトリアージです。腰痛をまず3つのグループに分類します。

 

①レッドフラッグ:危険な腰痛で治療家の専門外

 

②神経根症状:腰痛よりも下肢痛が強い。放散痛や神経の障害がみられる。

 

③メカニカルペイン:姿勢や動作に痛みが関連する一般的な腰痛

 

この患者さんは強い痛みはあったものの、楽な姿勢があったので③のメカニカルペインと判断しました。

 

なので、治療家は治療しても良い腰痛なんですね!

 

ただ、この患者さんは腰痛になったのは初めてだったんです。ちなみに55歳以上の初発の腰痛はレッドフラッグに含まれることもあるのですが、この方は腰椎圧迫骨折などもなく大丈夫でした!

 

初発の急性腰痛は基本的には特別な治療はせずに

 

「痛みがない範囲で日常生活を継続する」

 

それを指導するのが一番の回復の近道になると言われています。

 

なので、僕もこの様に指導してかつ予後予測として1週間〜10日で痛みはかなり軽減すると思いますよ!と伝えました。

 

ですが、次に通院された時にこの患者さんは予想した治癒経過を辿っていなかったんですね。

 

ある事が原因だったのですがそれを僕が見逃してしまっていたんです…。

 

慢性化の原因:過去の痛みの記憶

それは「既往歴」。ただ、過去腰痛になったどうかはきちんと確認していました。

 

ですが、別の部位に既往歴があったんです。足首の捻挫をしていました。それに結構なひどい捻挫を。

 

かなり昔の事だったので、痛みもなく、完治はしていました。

ですが、昔の足首の捻挫をしたときの記憶がその患者さんの中に残っていたんですね。

 

足首の捻挫をした時に、まだ仕事もしていたので痛みを我慢して無理しながら仕事をしていた様なのです。

 

するとどんどん腫れが強くなり、治りがかなり悪くなってしまいました。

 

腫れてしまったあとに医者から診てもらった時に

 

「絶対に無理しないでください。このまま無理すると後遺症になりますよ!!」

 

そう釘を刺されました。

 

その時の記憶がずっーーと残っていたんですね。なので、今回腰痛になった後にその患者さんは

 

・無理をしたら後遺症が残るから、絶対に動かない様にしよう

 

・無理するとまたお医者さんに怒られるから、じっとしておこう

 

・動いてしまって治らなかったらどうしよう…

 

過去の経験と不安から僕の日常生活を継続するというアドバイスを受け入れる事ができなかったんですね。

 

それが原因で予想していた治癒経過から外れてしまったんです。

 

ですが、その後にしっかりとまたアドバイスをし直しました。アドバイスの内容は大幅には変わらないのですが、痛み止めの薬を飲んだ後に動くと良いですよ!という様なアドバイスを追加したんですね。

 

それでちょっとずつ痛みは軽くはなりましたが、3ヶ月ぐらいはかかりましたね(涙)

 

急性的なものは腰痛に限らず痛みのコントロールをしながら、患部を動かす事がとても大事なんです!

 

今回は僕の失敗談を例に痛みの記憶が不活動性の原因になった患者さんをご紹介しました。

 

人間の体は不思議なもので、不快な刺激は覚えているものなんですね…。ただ、自分の体を守るための防衛本能なので仕方ない一面もあります。

 

ですが、我々治療家は目の前の状況だけでなく、患者さんの過去の出来事にもしっかりと目を向ける必要があります。

 

そうする事で患者さんに本当に寄り添った治療が提供できるのではないでしょうか?

 

僕もまだまだ勉強の身。皆さんと一緒に頑張りますよー!!

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S

インフルにも、花粉症にも負けずに運動教室に通うシニア世代は本当に元気です!僕も参加者を見習って春に向けて運動頑張ろう!春になると薄着になるから体型隠せないよね(苦笑)

 


この記事を書いた人

黒田雄太

黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。

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