日本オランダ徒手療法協会    

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治療効果と心理の関係

2019.02.28

From:長島 将太

@姪浜のスタバより

 

TV 「えーーーなんで分かるの?」

  「こころ見透かされてるじゃん!」

 

丁度その時間はTVのゴールデンタイム。

普段テレビを見ない私は、久しぶりにテレビに釘付けになったんです。

 

その番組は巷でDAIGOと呼ばれるメンタリストと、俳優との「心理ゲーム」

(確か、私が好きな阿部寛さんと若手イケメン俳優だったような??)

 

どんな内容かはさておき、この両者のやり取りが凄く面白かったんですね。

 

メンタリストが言葉巧みに俳優さんに揺さぶりをかけ、その口調、表情、行動、視線、性格などあらゆる反応を元に推測し、俳優さんが立てた答えを言い当てるという内容。

 

Daigo「私がこう言った時、目がこちらを見ましたよね?」とか。

 

Daigo「私が質問した時、下唇を噛んだじゃないですか。こういう人は…」みたいな感じ。

 

ただ、このやり取りを見ていて、ふと気づいたことがありました。

私たちが普段接している患者さんやクライアントの方々とのやり取りは「心理ゲーム」に近いものだなと感じたんです。

 

私がこのように感じたのも、働き出して4~5年に差し掛かった頃、治療で非常に苦戦し、一時治療が分からなくなった時代があったからかもしれません。

 

これは、私だけではなく誰しも経験があることのようにも感じます。

 

#「こころ」を言い訳にしてしまった自分

その方は、60才代の女性でした。

交通事故で左足の腓骨骨折と、左肩の打撲で入院されてきてたんです。足の方は、手術が必要だったのですが、肩は痛みはあったものの、骨に異常がなく、比較的動きが維持されていたので保存療法となったのです。

 

リハビリが始まり、足の方は経過と共に順調に回復し、術後1ヶ月頃には生活に問題ないくらい回復していったんですね。ですが、肩の状態がとある時期を境にどんどん悪化していったのです。

その時、理由が分かりませんでした。

 

骨や筋肉には異常がなく、打撲の痛みなのに?

事故から2ヶ月も経った今頃、なぜ痛みが悪化するの?

特に大きなきっかけもないのに、痛みが悪化してるのは何故?

 

そして、その頃から私は患者さんの発言が気になるようになってきたんです。

 

#患者さんの訴え、その裏には…

患者さん「肩が痛くてなにも出来ない」

 

患者さん「痛みがあるから服が着れない」「肩の動きがもう少し良くならないと帰れない」

 

患者さん「もう退院しようと思うけど、痛みがあって帰れない」

 

このように「〇〇だから〇〇出来ない」などのネガティブな発言が多くなってきたんです。

 

「痛いから…」「関節の動きが悪いから…」

 

肩の動きは特に問題ない。

気になるところと言えば、少し筋力は弱いぐらいで、運動パターンが少し異常かなと思う程度。なんで痛みがここまで悪化するのか、まったく検討がつかない状態。構造的な問題もなく、機能的な問題も少ないのに、なぜ痛いのか???

 

そして、マイナスな発言が気になり出した私は患者さんの事を「メンタルが問題」というレッテルを貼り、痛み増悪の原因を「メンタル」のせいにし治療が上手くいかない言い訳にしてしまいました。

 

しかし、とある勉強会が自分の患者さんに対する向き合い方を見直すきっかけになったのです。

 

#「メンタル」が問題ではなく「心理社会的要因」という考え

この考えを聞いた時は、非常に衝撃的だったことを覚えています。

 

当初は自分がやっているリハビリ内容が問題なんだ、患者さんのメンタルが問題なんだと思っていたんですからね(汗)

 

ですが、この考えを聞いて以降、私の中で患者さんの「痛み」に対する捉え方が変わりました。もう一度患者さんの痛みの原因と向き合ってみようと思ったんです。

 

そして、次の日患者さんに痛みが悪化していった時のことを色々と聞いてみました。

すると、痛みが悪化する少し前から患者さんを取り巻く環境が変化していったみたいなんです。

 

具体的には、、、

  • 事故を起こした相手の対応が手のひらを返したように悪くなって揉めていること
  • 試験外泊中(入院中のお試し外泊)の家族の対応
  • 自分に過失があるような事を言われた保険会社とのトラブル
  • なかなか職場復帰できない苛立ち
  • 同じ時期に入院した方がどんどん退院していくのに、自分だけ置いていかれる焦り
  • 事故のトラウマで外に行くのが怖い

 

この時、全然患者さんの事、見えていなかったんだなと反省しました。不安や、焦りを抱えながらリハビリをしていた患者さん。非常に苦しかったんだと思います。

 

そして、この患者さんが抱える問題と、現在の身体的な状況を把握した私は少しでも患者さんが安心できるようなリハビリへとプラン内容を変更して対応するようにしました。

 

  • 痛みの説明(構造的には問題ないという医師からの説明)
  • 「〇〇だから出来ない」から「〇〇は出来る」というポジティブな声かけ
  • 入院生活の中で成功体験が出来るような課題設定
  • 入院のコミュニティを利用した活動量の増大
  • 家族への説明と協力依頼…etc

少しはリハビリ内容は変更したものの、患者さんが「安心」できる環境づくりと課題設定を中心に変更した結果。徐々に患者さんの「痛み」の捉え方が変化してきたのです。

 

以前は病室に引きこもりがちだった状態から、少しずつリハビリ室で自主練習を行うようになり、ネガティブな発言からポジティブな発言への転換。そして、何より表情がどんどん明るくなってきたのです。

 

そして、肝心の痛みは劇的な改善をしました!!、、、なんて美談ではないのですが。

 

少しずつ「痛くても動かせる」ようになってきたのです。

 

痛みの恐怖心から動かさない状態(いわゆる不動)になり、痛み刺激に対して敏感になっていた肩も、徐々に痛み刺激に対する閾値も上がり、日常生活上も使っていくようになっていきました。

 

一度は諦めかけた患者さんの治療。

ですが、この一件は治療者としての患者さんとの向き合い方だけでなく、私たち治療者の対応次第で患者さんの治療効果や結果が変わってくるのだと痛感させられました。

 

「身体的」「機能的」な側面ばかりに目を向けず、「心理的」な部分にも結果を出すヒントが大いに隠されていることを知る印象深い私のエピソードでした。

 

PS

昔はこんな失敗をしていた私ですが、今では病院内で「メンタリスト」と呼べれるようになっちゃいました(笑)

 


この記事を書いた人

長島 将太

長島 将太

理学療法士。JADMT認定 徒手療法士。プロの選手からインカレ・インターハイ選手など数多くトップアスリートを診てきている。また、オランダ徒手療法ではチーフ講師として本物の医療を伝えるために後進の育成にも余念のない。サーフィンをこよなく愛する2児の父。

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