日本オランダ徒手療法協会

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腰痛を治せない治療家は患者の話を信じ過ぎ⁉︎

2018.12.14

from 黒田雄太 新高円寺マックより

 

オランダ徒手研修を終え、東京で朝を迎えた黒田です。

 

今日は東京滞在最終日。土日にオランダ徒手の研修で筑波大に行っていました。出された課題に向き合い頭をフル回転させまくった2日間。ヘロヘロになりながらも、成長を実感できた研修でした!

 

翌日の月曜も東京に残り仕事をします。今日はちょっと予定が変更になり朝からゆったりとした時間を過ごしているんです。東京での朝食は泊まらせてもらっている仲間の家近くのマックに行くことが多くてですね。今日もいつものルーティンでマックにいるわけです。

 

そして、このメルマガを考えていたんです。カフェミュージックがかかりいい雰囲気の中過ごしていたところ、まだ20代ぐらいの可愛らしい女性が入ってきたんです!

ただ、ちょっと様子がおかしい…おかしいというかゆったりとした雰囲気には不釣り合いな感じ(苦笑)

 

カツカツカツ

 

ヒールの音が響き渡り、スマホを食い入るように見て高速でメールを打ちながら入ってきたんですね。そして、

 

ドスン

 

椅子に座ったと同時に朝マックを口一杯に頬張る。二口ぐらい口に入れたら、またスマホの高速打ち

 

僕「・・・」

 

そうしているうちに2〜3分で嵐のように帰って行きました。

 

僕(田舎者笑)にとってはあまりにも衝撃的な光景だったので、メルマガを書く手もとまってしまいましたよ(汗)

 

可愛らしいのにもったいないなぁと思ってしまいましたね。僕自身食事はゆっくりよく噛んで食べるようにしているからそんな事を思ってしまったのかなぁ。ゆったりと余裕がある人がやっぱり雰囲気がいいなぁと思ってしまいますよね!

 

ただ、その女性にも何かしらの急ぐ理由があったんでしょうね。人それぞれ事情があるので、外見からの情報だけでは真実はわかりません。先入観だけで物事を判断するのは良くないです。

 

といって、僕がその女性に「何にそんなに急いでいるんですか?」と聞くとれっきとした変質者になるので(苦笑)聞くことはありませんが、やっぱりきちんと相手に確かめないといけません。

 

では、臨床ではどうでしょうか?

臨床でも問診を行い、患者さんから情報を得ますよね。ただ、こちらが聞いてなくて患者さんから自然に情報をくれる人もいれば、こちらが聞いたことしか言わない人もいます。

つまり、こちら側がどのような聞き方をするのか?どの程度まで深掘りして聞くか?がとても大事になるわけです。

 

今回は僕が経験したある出来事をシェアしたいと思います。皆さんも自分が今行なっている問診を振り返ってみてくださいね。

 

治りきらない臀部痛

こんな患者さんを担当していました。

70代女性で臀部痛が主訴の患者さん。腰痛は初めにトリアージと呼ばれる腰痛を3つのグループに分類することから始めるのですが、この患者さんは治療家が治療してもよいメカニカルペインと呼ばれるグループでした。メカニカルペインとは全腰痛で1番割合が多い、姿勢や動作に痛みが関連する腰痛のことです。

 

痛みは鈍痛でピンポイントではなく、部位としては仙骨に近い梨状筋のあたりでした。押すと多少痛みがあることから梨状筋が問題かなと仮説を立てていました。もし梨状筋じゃない場合は関連痛なんかも考えられるなといつものように複数の仮説を立てておいたわけです。

 

実際にその仮説に基づいて、梨状筋をはじめとした臀部周囲のリリースを行うと痛みは結構軽くなります!

ですが、次回来た時には臀部痛が戻っているんですね。多少軽くはなっているんですけど、元に戻ったといえばそうとも捉えられる。だからあまり治ってなかったんです。

 

その場合今度は治りきらない原因を探します!オランダ徒手ではそのことを「治癒プロセスを阻害する要因」と表現します。

この「治癒プロセスを阻害する要因」は色々あるんですけど、その中の1つに「ライフスタイル」があります。

 

字のごとく日常生活の習慣やスケジュールのことです。もし、痛みが日常生活のどこかの場面で出ているのであれば、もしかしたら日常生活での姿勢や動作、もしくは活動量などが治りを悪くしている原因かもしれません。

 

この患者さんは畑を持っていて草むしりをしたり、庭いじりをするのが1番の趣味。なので、これが臀部に負担をかけているのではないかと思い、このように聞いてみたんですね。

 

僕「〇〇さん、畑仕事がお尻の痛みに関係していると思うんですけど、負担になってませんか?」

 

患者さん「いやー、そんなにやってるわけじゃないから大丈夫よー」

 

僕「そうですか、じゃあ別に問題があるんですかね…」

 

患者さん「そうね、階段が家の周りには多いからそれが関係しているんじゃない?」

 

こんなやり取りをしたんです。僕は畑仕事が「治癒プロセスを阻害する要因」だと思ったんですが、問診ではちょっと違っているようでした。

 

ですが、このやり取りをした少し後に僕が考えてもみないことが起こったんです。

 

そんなにやってない…それを真に受けた結果

現状維持で経過していた患者さんがある時痛みが強くなって来院したんですね。

 

患者さん「先生、昨日は頑張って畑をしちゃってお尻が痛くなったよ」

 

僕「昨日はどれくらいしたんですか?」

 

患者さん「昨日は結構頑張ったからだいたい7時間ぐらいかなぁ?」

 

僕「???、頑張って7時間って〇〇さんいつもどれくらいしてたんですか?」

 

患者さん「そうね、だいたい4時間ぐらいはするかしら」

 

僕「そんなやってないって言ってませんでしたっけ⁉︎」

 

患者さん「4時間ぐらいは私には大したことじゃないわよ」

 

僕「・・・」

 

チーン、僕は撃沈しました(苦笑)失敗した…完全な思い込みだ。

 

僕は患者さんの「そんなにやってない」を真に受けてしまったんです。ついその言葉を信じて、20〜30分ぐらいしかやっていないと思ってたんです。深く聞くこともせずに。

 

患者さんは何も悪くありません。僕が聞いたことに対してきちんと答えているのですから。

 

これをきっかけに深く畑仕事のことについて聞き直してみました。

 

・畑仕事はどれくらいの時間やってるんですか?

 

・どんな姿勢でやってますか?

 

・途中で休憩はいれていますか?

 

・1週間でどれくらいの頻度やっていますか?…

 

これらの問診から得られた情報をもとに、僕は生活指導をし直したんですね。

 

・一回で行う時間を減らす

・小まめに休憩を入れる。

・ずっと前屈みにならず、途中で腰を反らす運動を入れる

・1週間で行う頻度を減らし、体を休める日を作る

 

そんな指導を行うようになると、臀部痛も次第に軽減してきました。その後、しっかりと体幹や股関節周囲のトレーニングを行い、この患者さんは畑仕事をしても痛みは出ないようになりました。

 

今回僕が失敗したように、治療家は患者さんの言葉を真に受けてしまいがちです。ですが、実際には深く聞き取りを行わないと本当の原因に辿りつかないことが多いです。テクニックのような治療スキルではありませんが、患者さんを治すためには必要なスキルなので、これを機会に是非ご自身の問診も見直してみると良いかもしれません!

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S.

2〜3分しかいなかった女性に対して僕は2〜3時間マックにいました(笑)こんなにゆったりした朝を過ごすのは久しぶりで最高でした!

 


この記事を書いた人

黒田雄太

黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。

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