日本オランダ徒手療法協会

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理想のフォーム≠怪我しない

2018.11.08

From:長島 将太

 

@姪浜のスタバより

 

「ピロリーン…」

 

早朝から携帯の着信音が鳴った。

 

「誰だよーこんな朝早くからー」と思いつつ時計を見ると、まだ朝の5時半。

眠い目を擦りながら、携帯画面を覗くと、、、

 

「大谷、トミージョン手術成功!!」という見出しに眠気も吹き飛んだ。

なにせあの「投打の二刀流」で日本球界を大いに盛り上げてくれた大谷選手の速報だったからね。

 

そこからは暖かい布団に包まりながら、「トミージョン手術」に関する情報のネットサーフィン開始(笑)

 

トミージョン手術と言えば、野球に携わっている方なら一度は聞いたことがある有名な手術なんだけど、海外進出した松坂投手や元阪神の藤川球児選手が受けたのでも有名ですよね。

 

俗説では「手術を受けると球速が上がる!」なんて噂まで出るぐらい、野球界や野球に関わる治療業界では超有名な話なんです。

 

ただ、個人的には他の大投手よりも「ダルビッシュ有選手」が手術を受けたことが当時の私には非常に衝撃的だったんですよね。

 

「なんで、あのダルビッシュが手術に……」

本当にショックでしたね。

 

なぜかと言うと「野球界で最も素晴らしいフォーム」だったからなんです。

 

最近はyoutubeがありますから、色んな投手の投球動画が見れるので一度見て欲しいのですが、本当に綺麗なフォームなんです。

なんと言うか無駄を一切省いたシンプルな投球動作なんですが、この投げ方なら怪我しないだろうなんて当時思っていました。

 

だからこそ、余計に印象深かったんだと思います。

 

スポーツ選手の治療に携わる方であれば、誰しも理想的な動作ってあるじゃないですか?

 

  • 理想的な投げ方
  • 理想的な打ち方
  • 理想的なジャンプ姿勢/着地姿勢

 

これって動作指導する時や、コンディショニングでフォームを見る時に参考にしていると思うんですよね。私の職場でも同じで、「こんなフォームって良いよね!」みたいな感じでよく耳にする訳です。

 

そして何より、綺麗なフォームは「怪我をしにくい」と考えて動作指導や治療をしていると思うんですよね。

 

でも、私はダルビッシュ選手の手術の一件以降、考え方が大きく変化してしまったんです。

それは、、、

 

# 「理想的なフォーム≠怪我しない」ではない

これまでは、「肘が下がらないには?」「片脚立位のバランスが…」のように運動連鎖中心にスポーツ障害の治療に関わってきました。

 

「筋力が弱いから支えれていない」とか

 

「関節の動きが少ないから、もっと柔らかくしようね」みたいに

動きのエラーの原因を探していたんですね。身体の機能的な部分にしか目がいかなかったんです。勿論、この視点は重要なんだけど、これだけじゃ本当の目的は達成できなかったんですよね。

 

だからこのダルビッシュ選手の一件は、正直根底から覆された感じでした。

そして、いくら理想的な投げ方であっても、理想的なポジションであっても障害は起こるのだと痛感しました。

 

「じゃあ、何を重要視しないといけないの?」ってなりますよね。

 

#「抵抗力」がキーワード

怪我をする時って、当たり前ですが組織が外力に対して耐えきれなくなったから壊れるんですよね。交通事故なんかは一番分かりやすい例ですよね。一回に加わる負荷が強力なので「損傷」しますよね。

 

では、野球の場合は?

交通事故並みの負荷がかかる場合は、恐らく球速300キロぐらい投げれば一発で怪我しそうですよね(苦笑)

 

ですが、実際こんな事はありえない話(そりゃーそうだろ!!)

殆んどが「投げ過ぎ」「走り過ぎ」などのオーバーユースですよね。

 

でも、「投げ過ぎ」と分かっていながら、この負荷を具体的にコントロールしている場面を見かける機会が少ないと思いませんか?

 

一時的には休ませるけど、投げ出してからはあまり負荷をコントロールしている印象はないように感じます。

 

恐らく治療で優先されるのは「動きの視点」が中心になっている印象です。

 

私も同じ視点でしたが、思うように結果に繋がりづらかったんですね。

そこで最近、私はよく「抵抗力」VS「負荷量」というバランスで考えるようにしました。

 

抵抗力は、組織が耐えうる力。

負荷量は、組織にかかる負荷の量。

 

このバランスが崩れると、身体に何かしらのトラブルが出やすくなります。

 

もっと具体的に言えば「球数」や「球速」などが負荷量になります。そして「週あたりの負荷量/練習時間」なども加味して把握するようにしました。

 

今までの「投球フォーム/投球動作」へのアプローチは、負荷量で言えば「質」の部分になりますよね。

 

そうなんです。

 

負荷量は「量と質」に分かれるんです。

この質は非常に重要なんですが、いくら良質の姿勢やフォームでもやり過ぎれば、怪我をするんです。何かしらのトラブルが出てくるのです。

 

だからこそ、「量」も「質」もバランスで考えていかないとおかしな事になってしまうんですよね。この視点を持っていなかった当時の私は「理想的なフォーム」ばかり追い求めてしまっていたんです。

 

肝心な「量」という片翼を見失っていたんですね。

 

このように、中々現場に戻っても再発してしまうような患者さんや、動作のエラーの視点に偏ってしまっていた治療家の方は、一度「負荷量」を見直してみると、今まで上手く復帰まで繋がらなかった患者さんも復帰出来る可能性が高まるかもしれませんね。

 

PS

あまりにもネットサーフィンに熱中してしまい、危うく遅刻しそうになりました(笑)

これからは早朝の着信はオフにしようと思います。


この記事を書いた人

長島 将太

長島 将太

理学療法士。JADMT認定 徒手療法士。プロの選手からインカレ・インターハイ選手など数多くトップアスリートを診てきている。また、オランダ徒手療法ではチーフ講師として本物の医療を伝えるために後進の育成にも余念のない。サーフィンをこよなく愛する2児の父。

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