日本オランダ徒手療法協会

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笑顔でバレーを辞めた選手

2018.09.14

From:長島 将太

@姪浜のスタバより

 

今日もいつものスタバでブログを書いています。

 

最近のマイブームは「コールドブリューコーヒー」

 

なぜ、冒険心のない私がこのコーヒーにハマったかというと、まだ東京にしかない「ブルーボトルコーヒー」がきっかけなんですよね。

 

基本的には、飲み慣れたモノは変えない主義なので、いつもは安定を求めてドリップコーヒーを注文するんですけど、たまたま友人に勧められて飲んでみることになったんです。

 

正直、ただ洒落た名前にしただけでしょ???って友人を疑ってたんですね(笑)

 

ただ「コールドブリューコーヒーを!」って言いたいだけでしょ?ってね。

なにせ流行りモノが好きな友人だったので、、、、

 

でも、飲んだ瞬間。。。

 

「ホンマや!!!!!」って思わず本音が出るぐらい味が違ったんです。

 

今までのコーヒーとは全く違う。

凄く飲みやすい。そして、飲み口がとっても爽やかなんですよね。

 

これが豆本来の味が活かされているんですよね。。。

って何気取ってんねんって感じですが(笑)

 

それ以来、私はどこのカフェに行っても「コールドブリューコーヒー1つ!」

 

結局、まんまと流行に流されている私ですが

友人とカフェで話をしていてこんな話題になったんです。

 

それは、、、「バレーを辞めた女の子」について。

 

これは私が以前に担当していたスポーツ選手の事で、非常に印象的だったんですよね。

だから、いつも臨床話で盛り上がる彼には、しっかり共有したかったんです。

 

# 「長島さん、バレー辞めました」

そう言った彼女の顔は笑顔で満ちていた。

 

彼女は九州県内でもトップクラスの某大学バレー部のアタッカー。

 

体格は170センチ台前半にも関わらず、身体能力抜群でまだ1年生ながらレギュラー候補になる程の選手だったんですね。

 

そんな彼女もオーバーヘッドスポーツに特有の肩の痛みでうちで手術することになったんです。具体的な詳細は割愛しますが、手術自体は「デブリードメント」という滑膜切除術で術後は経時的に痛みが引き、リハビリもほとんど悩む事なく進む手術だったんですよね。

 

彼女を除いては、、、(泣)

 

100%でないにしても、この手術はほとんど1週間程度で痛みなく可動域獲得でき、筋力も回復していく為、ほぼ悩む事が無いケースの予定だったんです。

 

これまで私は何十件も同じようなオーバーヘッドアスリートに対する滑膜切除術後のリハビリを経験したことがあったんですが、彼女は通常の術後とは何か違ったんです。

 

それは、、、

「数週間経っても痛みが取れないこと」です。

 

# 明らかに治癒過程から外れていた彼女

本来滑膜切除は、関節鏡で行う為、身体への侵襲も小さく軟部組織の損傷が少ないことが特徴なので、1週間もすれば侵襲に伴う腫れや痛みは落ち着いてくるんですね。

 

同じ手術のリハビリを経験した人には、分かる話だと思います。

 

でも、彼女は2〜3週間も痛みが取れなかったんですよね。

正直悩みました。

 

「この痛みの原因はなんだ?」

「何故痛みが取れないの?」

 

結構色々と試みたんです。

 

肩のインナーの問題。

頸椎からの関連痛の問題。

日常生活上の負荷の問題。

 

どれも、なかなか反応がイマイチ。

一時的には反応があるんですけど、何か違う。

 

そんな悩んでいた時、彼女と話していてふと気付いたことがあったんです。

 

それは、、、

彼女はあまりスポーツ復帰の話題には、あまり反応しなかったこと。

 

# 心理社会的要因と痛みの関係性

本来、スポーツ選手が手術する場合。

 

ほとんどの選手は「競技復帰」が目的になりますよね。

 

だから必然と競技復帰の話にはなるものです。

でも、彼女はあまりその話には乗ってこない。むしろ避けているような感じだったんです。

 

もしかすると、、、と嫌な予感がしたんですよね。

 

「本当は復帰したくないんじゃないかな?」って。

 

そして、この治癒過程から外れている要因は「心理社会的要因」が原因なんじゃないかって思うようになったんです。

 

「心理社会的要因」って慢性腰痛と強く関連性をもっていることで有名ですが、そんな心理社会的要因は、簡単に言うと心因的ストレスが原因なんですよね。

 

この心因的ストレス。非常に厄介(恐)

 

なぜなら「自律神経機能を低下させるから」なんです。

 

自律神経は、末端の毛細管などの収縮−弛緩をコントロールしており、治癒していく組織に必要な酸素や栄養を間質液に送る役割を果たしています。

 

しかし、自律神経機能が低下すると治るための材料が行き届かなくなり、正常な治癒能力が上手く働かなくなります。

 

そして、さらに組織内の循環不良に陥り発痛物質も滞留することで痛みも感じやすい環境になってしまうのです。

 

この視点から仮説を練り直した私は治療することを辞めたんですね。

そして、違うアプローチをしていったんです。

 

# 彼女の本当の悩み

それは「話を聞く事」です。

 

彼女と話をしていて色んな事が分かりました。

 

「手術の前までバレーを辞めようとしていたこと」

「同級生や先輩と上手く関係が築けていないこと」

「自分なりに寝る間も惜しんでチームの為にしていること」

「バレーが大好きなこと」

「あまり友達がいないと思っていること」

 

あーこんなにたくさんの事を抱えているのか。って正直驚きました。

自分が予想していたよりも深刻だったんですよね。

 

ですが、傾聴しながらも「あなたはどう思っているのか?」「今後どうしていきたいのか?」と彼女自身に寄り添いながらも、自分で自分の道を進む為にどうするかを問い続けていったんです。

 

そんな話をしていて2〜3日過ぎたぐらいに、不思議と徐々に痛みが落ち着いていったんですね。正直「マジかーーーー!」って心で叫んでました(笑)

 

つい彼女に「最近、なにかした?」って聞いてしまいました。

そしたら彼女は「バレー部の同級生の何人かと話をして、少しスッキリできたんです」って教えてくれたんです。

 

私たちセラピストは、どうしても身体的な異常に目を向けてしまいやすいですが、今回のように「心理社会的要因」により痛みが取れないケースもあるのだと非常に考えさせれた出来事だったんですね。

 

もし、正常な治癒過程から外れていると感じる患者さんがいたら、一度「心理社会的要因」にも目を向けてみると違ったアプローチで結果に繋がるかもしれませんね。

 

PS

結局、退院した彼女は自分でケジメをつけて「退部」しました。

でも彼女の表情は今までで一番スッキリしており、素敵な笑顔で私にこう言ってきたんです。「長島さん。バレー辞めました!!」ってね。

 

PPS

ちなみに彼女は違う実業団で今も好きなバレーを続けています。


この記事を書いた人

長島 将太

長島 将太

理学療法士。JADMT認定 徒手療法士。プロの選手からインカレ・インターハイ選手など数多くトップアスリートを診てきている。また、オランダ徒手療法ではチーフ講師として本物の医療を伝えるために後進の育成にも余念のない。サーフィンをこよなく愛する2児の父。

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