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偏頭痛に対するアプローチ②

2017.10.16

こんにちは。

オランダ徒手療法協会の杉山です。

 

前回は、問診からどこまで情報を引き出し、その情報から仮説、ランディング、治療アプローチを立てるかまで行っていきました。

 

今回も偏頭痛に対するアプローチ第二弾として治療介入に対するアプローチ方法とその考えをご紹介できればと思っています。

 

では、前回の仮説とアプローチ方法のおさらいです。

はじめに

<情報>

30代、女性、会社員(事務作業)&主婦(家事全般)

数年前から度々頭痛に悩まされており、病院にいきMRIまで撮ってもらったが、特に問題なく偏頭痛の診断を受ける。

 

<仮説>

①心的ストレスで自律神経系に問題があると考え、頭部の循環・栄養が乏しくなり疼痛症状が出現したと考える。

②過去に咳に襲われ胸郭・胸椎部に痛みを生じた経緯から脊柱に問題があると考え関連痛の可能性が高い。

③疼痛部位がデルマトームからC2の範囲、C2部に関連している自律神経がTh2にあたる。

 

<アプローチ方法>

①、②の仮説から胸椎2番・胸郭に焦点を絞ったアプローチ方法を立案。

セルフエクササイズも胸郭周囲のストレッチ・呼吸方法、精神的な不安もあることから身体部分のリラクゼーションを行います。

 

ではこれを詳しく解説していきます。

自律神経系を考える

心的ストレスで自律神経系に問題があると考え、頭部の循環・栄養が乏しくなり疼痛症状が出現したと考える。』

 

自律神経に問題があると

なぜ、循環や栄養が乏しくなるのでしょうか?

 

体を動かす神経は末梢神経に由来します。歩いたり、手を動かしたり、走ったりなど動作を行うときは末梢神経です。

 

自立神経の役割はその動かす筋肉やそれを支える骨、靭帯、軟部組織の栄養や酸素を提供しています。内臓機能にも影響してきます。

 

だから、自律神経に不具合が生じると、組織の治癒経過を大幅に過ぎても治らなかったり、いくら運動しても筋力や持久力がなかなか向上しなかったりすることがあります。

 

なぜなら、上記でも述べたように栄養や酸素などの循環不良に陥っているから、いくら運動しても治療しても患部に良い影響は出てきません。

 

なぜか?

 

栄養と酸素といった、人が必要としている物資がその部位に届いていないからです。

 

例えば、普段海抜数メートルのところで生活している人が急に富士山で生活したら、頭が痛くなります。これは脳に栄養や酸素が行き渡らないから起きるのです。

 

そう考えると、偏頭痛があった箇所に酸素や栄養が行き渡らなかったと考えれば、頭痛が起こるのも頷けます。

 

しかも、右片側だけと考えると、全体ではありません。神経的に考えるとどこなのか?それを表している図があります。

 

一度は聞いたことのあるデルマトームです。

下図でその位置を見てみると、

C2です。

 

でもこれはあくまで、感覚/運動神経です。

 

上記で話したように、自律神経は胸椎部に由来します。

 

おかしいじゃないか?一致していないのでは?

と疑問をお持ちになると思います。

 

実は頚椎1番から7番胸椎1番から7番目リンクしています。

 

それは感覚/運動神経と自律神経でリンクしているのです。

 

なので、今回痛みを呈している部位はデルマトームではC2

 

自律神経ではTh2にあたります。

 

しかも、自律神経に問題があるということを仮説にあげれば、治療でアプローチするのはC2ではなく、Th2にアプローチすることが本筋になるのです。

関連痛の考え

『過去に咳に襲われ胸郭・胸椎部に痛みを生じた経緯から脊柱に問題があると考え関連痛の可能性が高い。』

 

上記のことから、胸郭や肺などの臓器のオーバーユーズで、胸郭や筋肉の硬さがあり、日々の呼吸にも制限を及ぼし、胸椎周囲の可動域制限出現し、感覚/ 運動神経や自律神経に影響が出現したと考える。

 

先にもお話ししたが、胸椎部は自立神経を司っている。

つまり、胸郭の動きが制限されていたことを考えると、頚椎の感覚/運動神経にも影響が出てくる。

 

感覚/運動神経と自律神経は相互の関係性を有しているので、胸椎部の動きが悪くなった場合、感覚/運動神経だけではなく、自律神経系にも影響が出てくる。

 

また、この評価を明確したいときは、筋肉の硬さ/脊柱の可動制限/圧痛などの評価で見ていくと、はっきりと違いが出てくる。

 

Th2番とTh6番は離れているが、Th2の直前直後のTh1やTh3で上記の評価をすると驚くように違いが出てくる。

 

実際、上記の考えからTh2番の可動域/圧痛/筋肉の硬さを追ってみると明らかに痛みが出現、可動性も悪く、筋肉の硬さが見られる。

上記の2つの考えと評価から

 

Th2に関係するアプローチを実施していきます。

 

ここまで考え込むと、本当に結果の出る治療介入ができます。

Th2にアプローチ

ここにアプローチすることを考えるときに私の中では、自律神経にアプローチすること重きに考えます。

自律神経の働きが良くなり、患部への循環が良好になればいいので以下のアプローチを実施。

 

<アプローチ方法>
①温熱療法
②筋膜リリース
③胸郭のストレッチ
④胸椎・頚椎のモビライゼーション
⑤胸椎・頚椎のマニュピレーション

上記のアプローチを実施

偏頭痛の痛み消失

その後の生活もあるので以下の自主トレを指導する。

 

<自主トレ指導>
①胸郭ストレッチ/頚椎・胸椎の運動
②温泉やお風呂に長く入ってもらう
③冷たい飲料・食べ物を避ける
④睡眠・食事をしっかりとる

 

<その他>
困ったことがあったらLINEで相談を受けられる体制をとる

 

上記のことを3日ほど続けてもらい、その後痛みは消失している。

最後は簡単に書いています。

 

これはあくまでも私が行ったアプローチ方法です。

 

できない、治療方法も上記にはあると思います。

 

しかし、先に立てた仮説と自立神経の考えを知っていれば、治療方法はいくらでもあります。

 

マニュピレーションの効果はあると思います。即効性もあります。

 

しかし、闇雲にやることは意味をなしません。

 

それよりも、今ある技術で上記の考えを持って臨むことが、治療者には必要不可欠なのです。

まとめ

今回、偏頭痛に関して2回に渡り紹介しました。

痛みがあるからこれを

運動連鎖でどうにかしよう!

自律神経系でどうにかしよう!

筋・骨格系でどうにかしよう!

 

などなど一辺倒の考え方でみることは、クライアントにも不利益です。そして何よりも、治療家としての幅を狭めていくと考えます。

 

多角的な見方で、クライアントに臨ことこそ、治療家としての醍醐味ですし、何よりクライアントの笑顔を引き出せると考えます。

 

今回の考えはごく一部ですが、この考え方・アプローチ方法が明日の臨床に活かせて頂けたら幸いです。


この記事を書いた人

杉山 貴規

杉山貴規

理学療法士。病院から訪問リハまで経験し、一般の方からスポーツ選手まで幅広い疾患の治療経験をもつ。その人にあった治療方法と復帰までの道筋を一緒に提案できるように日々心掛けています。