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組織損傷の原因と治癒期間を考える

2017.07.20

こんにちは!日本オランダ徒手療法協会の木内です。

 

皆さんは軟骨損傷をした場合、一体何日かかるのかご存知でしょうか?

 

組織の回復には、各組織ごとに目安となる治癒期間があります。

「治癒期間」と「損傷の程度」を知ることで、リハビリに必要となる期間をだいたい割り出すことが可能となります。

 

さて、皆さんは普段の臨床で、上記の2つをきちんと評価しているでしょうか?

Drや画像所見、整形外科的徒手テストなどに頼っていませんか?

 

実は、その他の評価方法でも、上記を評価することができます。

関節周囲における軟部組織損傷が発生するパターンは意外とシンプルで、

 

①引っ張られる力

②ぶつけ合う力

 

上記のどちらかの外力が、局所の抵抗力を上回るによって組織損傷は起こります。

 

今回は、「軟骨損傷の考察」と「組織の治癒期間」にを評価していく方法を、ケーススタディを通じて分かり易く説明していきたいと思います。

 


月刊スポーツメディスン No.189 4月号 2017年

連載 実践力を上げるための「根本原因と推察しうる要因や理論の使い方」①

-「刺激」×「休息」×「栄養」と局所循環とを臨床ではどう考えるか?-

[ケースの情報]

30代 男性サラリーマン:事務職

学生時代はサッカー選手で活躍していたが、4年次の10月に行われた試合中に、接触プレー中に右膝外側を痛めてしまい、残りのシーズンを棄権。

 

結局、保存療法ではあったが、復帰には十分な局所の抵抗力/体力が戻らず、プロ・サッカークラブでのセレクションがかなわず、サッカーを諦め就職。

 

その後は、サッカーをやらなくなったが、最近になって10年ぶりに社内のフットサル同好会に参加。翌日以降、腫れてはいないが、数日ほど同じ右膝外側が痛かった。

条件
① 大学4年:右膝の外側時には少し主張が見られたが=関節「内」の組織が損傷?
② その10年間、まったく運動はしなかった。
③ もともと膝が伸展時に内側(knee-in)にアライメントがずれている。

 

アライメントによるアンバランスな局所負担と抵抗力

T:今回は、上記のとうり、まず条件をある程度決めてしまい、考え易くします。

まず、もともと、脚がいわゆる「X脚」ということですが、このまっすぐでない膝に対して、通常と比べて一般的にどのような負担がかかるでしょうか?

 

S:えっと、膝の内側には“引っ張られる力”が、外側には“ぶつかり合う力”が作用します。

T:今回、この右膝のケースでは「外側」が(対象)と考える組織にはどんな組織がありますか?

 

S:半月板や関節表面の軟骨?

 

T:それが確からしいことは、他の情報に現れていますか?

 

S:ハイ! 1度目、10年前のケガのときは、膝が腫れたので関節内の組織が損傷した確率が高いです。

そして、アライメントが内側にズレている。(Knee-in)ので、着地時に負担になりえます!

 


T:負担とはなんですか?

 

S:負担とは、う〜ん・・・物理的に“ぶつけ合う力”のことです。

 

T:意地悪してすまなかった。でも、もう専門家として「負担」というよう、わかったようでわかっていない言葉を使わないように意識しましょう。

 

できるだけ具体的に、「どんな負担か?」を言葉で表して下さい。そしてアプローチの戦略を考える際に、たとえば“ぶつけ合う力”であれば、2つの方法があります。

 

“力”に対して「1.逃げる」か、「2.受けてたつ」か?

 

S:「1.逃げる」には、アプローチで“ぶつけ合わない”ような工夫を。

 

「2.受けてたつ」では、そもそも、“ぶつけ合う力”に対して、十分な「抵抗力」が戻れば、アライメントが歪んでいようが自覚症状もなく、元の動きができます。そうですよね、先生?

 

T:・・・そ、そのとうり。通常、それはどちらだけではなく、多かれ、少なかれ両方の改善をしていきます。

 

軟骨が完治するまでの期間は500日⁉︎

T:さて、Sさんはターゲットを半月板や関節表面の軟骨としていましたが、どれくらいで受傷前と同じ細胞組織に戻るか知っていますか?

 

S:・・・

 

T:組織学的に1年とか、500日とか言われています。

 

S:そんなに長く・・・。でも、半月板損傷術後に2ヵ月後ぐらいで復帰するスポーツ選手がいっぱいいますよ?

 

T:そうなんだ。そこが問題なんだ。

 

軟部組織でも比較的硬い組織である半月板や軟骨は、多少、まだデコボコしていようが軽い“ぶつけ合う力”であれば組織が損傷することなく受け止めることができてしまうんだ。

 

でも、その硬度が戻るのには、随分と時間がかかります。だから、本来ならば日常生活やスポーツに復帰したとしても、慎重なクリニックでは、2年ぐらいは定期的に腫れがないかMRIや触診でチェックし、フォローを続ける必要があるのです。

※なお、この文章は編集部の許可を得て掲載しております。

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