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競技復帰をさせる基準とは? -オランダ徒手療法-

 

ケガをしたスポーツ選手を競技復帰させる際、どのような基準で判断すれば良いでしょうか?

痛み⁇ 可動域⁇ 筋力⁇ …はたまた、プロトコールでしょうか?

 

この問いに、明確な答えを示すことができる方は少ないと思います。

小野 伸二 が所属していたことでも知られている、オランダの名門サッカークラブ 「フェイエノールト」で理学療法士として務め、国内外で多くの代表レベル選手のサポート実績を誇る、土屋 潤二 氏による競技復帰に必要な「基準」についての記事です。

 


 

月刊スポーツメディスン No.184 10月号 2016年

連載 「抵抗力 vs 負荷バランス」を理解する

-受傷分析、リハビリ後の復帰、再発防止に関してカギとなる-

以下、T:土屋潤二、S:生徒で示し、対話形式で、オランダ徒手療法の考え方を示していきます。

 

 

抵抗力 vs 負荷

 

T:アライメントが崩れて靭帯が切れ、再腱術をしたサッカー選手のクライアントがいるとします。徐々に負荷をかけながら、あるいはアライメントも直しながらトレーニングをしていきます。

 

では、この方をいつスポーツに復帰させますか? いつからボールを蹴らせますか?

 

S:再腱手術をしてから、靭帯がつくまでだいたい2ヶ月くらいかかるので…。

 

T:では、期間については一旦忘れて、どうしたら/どうなったらボールを蹴ったり、チームに合流したりしていいですか?

 

S:痛みが取れて、炎症がなくなって、可動域に問題がなくなって、両下肢の筋力がついて…。

 

T:ではそれらはよくなりました。では、合流してよいでしょうか?

 

S:ボールを蹴ってみて…。

 

T:ボールが蹴れればOK?

 

S:3対3など対人練習が大丈夫になって…。

 

T:意地悪な質問でしたね(笑)。では、何ができればいいですか?いつからチーム練習にフルで復帰してもいいですかね?

 

S:ぶつかっても大丈夫であれば…。

 

T:いい流れできていますよ。少しヒントを出しましょう。まず「動きづくり」と局所の「抵抗力の強化」とは、別に考えることが大切です。「抵抗力の強化」でも、リハビリの動きづくりと同じように、段階を追って徐々に強くしていって難易度や負荷を上げていきます。

 

たとえば、ランニングができるようになって、サッカー競技特有な動きに関して何か専門的な「抵抗力の強化」を目的としたトレーニングメニューを始めようと考えたときに、どんなトレーニングをしましょうか?

 

<写真>土屋氏によるトレーニング風景①

 

S:ボールを使ってのドリブル練習…とか?

 

T:そうですね。ボールコントロールでひねりの動きが入っていますよね。専門的な動きですので、この動きで物理的な負荷に耐えられるような「抵抗力」が身につけば、サッカーをやっても大丈夫そうですよね?

 

ただし、この条件下では、ボールを上手に操るために動作スピードを落としていますので、局所へのひねりや張力の刺激はそれほど急激で大きくはありません。

 

では、次にもっと専門的な「物理的な負荷」の刺激を局所に与えるとしたら、たとえば、ボールなしで全力のスピードで方向転換をしたり、不意の動作での反応ができるかどうかを確認したりするトレーニングが考えられますね。

 

そういうふうな感じで、よりサッカーの競技特性に近い負荷に上げていきます…さて、そこまでで復帰していいですか?

 

S:いいんじゃないんですか?…でも、もしかしたら質問するということはダメなんですか?

 

T:ちょっと意地悪してみましたけど、サッカーという競技を考えると、あとはジャンプした後に着地と同時にひねったり、スライディングをした後に起き上がって反対の向きにダッシュしたりと、ありえないような動きが自覚症状なしでできれば、復帰してもいいと思います。

 

局所の負荷をだんだん強くしていって、局所を強くしていく。というのが、局所の抵抗力を上げるということでしたから、サッカーという試合を想定して、それ以上の質的な強度と量的な負荷をクリアできれば、復帰しても再受傷するリスクは低いはずです。

 

S:お話を聞けばごく自然なことですね。これまでいつ復帰してよいのか、基準がなかったので上手くいかなかったことが時々ありました。

 

T:時々で、たまたま大きな問題(=再受傷)がなかっただけかもしれない、と考えると冷や汗ものでしたね。

 

<写真>土屋氏によるトレーニング風景②

 

…続く。

 

※なお、この文章は編集部の許可を得て掲載しております。

月刊スポーツメディスンについては、下記のサイトを参照ください。

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